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理事 大部悦二

  • 理事 大部悦二
  • 安全文化推進部長の大部です。

    福島第一原子力発電所の事故(以下、福島第一事故)から既に1年以上の月日が経過しました。今なお多くの方々が避難生活を強いられていること、また地域産業にも深刻な影響を与えていることを大変重く受け止めています。私たち原子力産業界に身を置くものは、改めて原子力発電に携わることの責任の重さを認識しなければならないと考えます。

    福島第一事故が、世界各国の原子力規制、エネルギー政策、原子力発電事業に大きな影響を及ぼしたことは言うまでもないことです。私自身INPOやWANO(※)の活動に参画する立場にあり、海外の電力会社をはじめとする多くの原子力関係者と接する機会を得ました。そのなかで、福島第一事故が及ぼした影響を深刻に受け止めている様、また、INPOやWANOを含む海外の原子力事業者が、このような事故を二度と起こさないための新たな仕組みつくりに真剣に取り組んでいる様を肌で感じることができました。この点からも、事故当事国である日本は事故情報や各国の参考になる安全対策などの情報を発信する責任があり、これについては原技協としても取り組むべき重要な課題であると考えています。

    私たちは、福島第一事故や最近隣国で起きた問題から原子力を事業として継続するには、組織の安全文化を高める不断の努力が必要であることを改めて認識することになりました。安全文化推進部では、福島第一事故から得られる知見をピアレビューや安全文化の評価・支援活動に取り入れるため昨年度から活動を進めています。安全文化の観点から、「原子力技術の特殊性の認識」、「問い掛け学ぶ姿勢」などについて具体的な活動に結び付けることを課題として今後も取り組みを進めます。

    最後に、最近私が”座右の銘”としている「Professionalism(プロフェショナリズム)」、「Engaged, Thinking Organization (関与し、考える組織)」を紹介します。「原子力」を職業とし、これによって社会に貢献することを目指すプロとして、常に学び続ける姿勢と判断力・実行力を持つこと、また、経営トップから実務ラインまでの個々のメンバーがそれぞれの役割と責任を認識し、自ら積極的にその業務に関わっている組織をそのあるべき姿としてとらえ、これを目指して日々精進したいと考えています。いずれもINPOの文書から借用し私なりの解釈を加えたものですが、大事にしたい言葉です。

    会員の皆様からのご意見ご要望をお待ちしています。

    (※)INPO: 米国原子力発電運転協会
       WANO:世界原子力発電事業者協会

平成24年7月1日
安全文化推進部長 大部悦二