2004年 2月16日
N S ネ ッ ト
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NSネットでは、第37回の相互評価(ピアレビュー)を東京電力(株)福島第二原子力発電所において実施しました。その概要は以下の通りです。
1.対象事業所(所在地)
東京電力(株) 福島第二原子力発電所 (福島県双葉郡富岡町及び楢葉町) |
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2.実施日 |
2003年12月 9日(火)〜12月12日(金) |
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3.事業所の概要及びレビュー対象
東京電力(株)福島第二原子力発電所は、東京から北方210kmの福島県太平洋側の富岡町と楢葉町にある。敷地面積は海面埋立地を含み150万。総出力は4,400MWである。1〜4号機は、ほぼ同一仕様の1,100MWで、営業運転開始年月は、1号機が1982年4月、2号機が1984年2月、3号機が1985年6月、4号機が1987年8月である。 |
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4.レビューチームの構成およびレビューの方法
Aグループ
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:日本原子力研究所、三井造船(株)
(レビュー分野:組織・運営、教育・訓練) |
Bグループ
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:中国電力(株)、三菱マテリアル(株)
(レビュー分野:運転・保守) |
Cグループ
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:日本原子力発電(株)、NSネット事務局
(レビュー分野:緊急時対応、放射線防護、重要課題対応) |
レビュー方法 |
:上記分野について、現場観察、関係者との面談および書類確認 |
福島第二原子力発電所 全景
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レビュー状況 (3、4号機中央制御室)
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5.レビュー結果
(1)主な結論 |
- 今回の本発電所に対するレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で直ちに改善措置を施さなければ重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。
- 本発電所においては、「福島第二原子力発電所安全運転宣言」を定める等、安全確保に対する数多くの取り組みを行っている。
- 今回のレビューでは、本発電所での、今般の問題への対応も含めた、安全に係る諸活動において、「信頼回復」、「安全第一をしみ込ませた人づくり」、「継続的な原子力安全活動」等を念頭に、所長をはじめ全所員がそれぞれに与えられたミッションを認識し、協力会社とも連携を図りつつ、誠実に取り組む姿勢が感じられた。
- 今後、本発電所は、なお一層の安全文化の向上を目指してさらなる自主保安努力を継続していくことが望まれる。
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(2)良好事例及び改善提案 |
今回のレビューにおいて、NSネットの他の会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべきいくつかの良好事例を見出した。一方、本発電所における安全文化の更なる向上に役立つものとしていくつかの提案を行った。
良好事例*1と改善提案*2 の一覧は次のとおり。 |
○「良好事例」
レビュー分野
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良好事例の概要
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組織・運営 |
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安全運転宣言等の掲示とポケット版配付と唱和 |
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イントラネット掲示板による双方向コミュニケーションの向上 |
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「不適合管理委員会」で毎日、不適合事象の吸い上げと対応の
策定 |
● |
出前講座による次世代層への原子力安全のアプローチ |
● |
多様な方法による協力会社からの意見の吸い上げ |
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緊急時対応 |
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教育・訓練 |
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運転・保守 |
● |
引継情報の共有化の徹底 |
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運転員の疲労等の改善を図ったRW勤務体制の変更 |
● |
協力会社運転員とのコミュニケーションの充実 |
● |
「コラボネット」による情報の早期発信と「現場作業よろず相談室」の活用による協力会社とのコミュニケーションの向上 |
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放射線防護 |
● |
環境モニタリングデータ等の公開に関わる設備信頼性向上等についての取り組み |
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重要課題対応 |
● |
JCOを教訓とした原子炉基礎知識及び未臨界管理等の反復研修の実施 |
● |
リスク情報活用に向けた積極的取り組み |
● |
ヒューマンエラー防止活動におけるヒューマンエラー研究成果の活用 |
● |
ヒューマンエラーの根本原因把握のための「なぜなぜ問答会」の活用 |
● |
確実な制御棒操作のためのロッドワースミニマイザ(RWM)の活用 |
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注) 太字は、報告書の主な結論に記載した項目
○「改善提案」
レビュー分野
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改善提案の概要
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組織・運営 |
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緊急時対応 |
● |
緊急時対策室の書架、備品棚の地震時の転倒防止策 |
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教育・訓練 |
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運転・保守 |
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放射線防護 |
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重要課題対応 |
● |
他発電所等良好事例の積極的な取り込みに向けた検討 |
● |
燃料のシッピング検査における協力会社への要求技能の明文化 |
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注) 太字は、主な結論に記載した項目
6.相互評価報告書
相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
●相互評価報告書本文(PDF形式:289KByte)
●参考図
7.その他
科学技術ジャーナリストの 尾崎正直氏 にオブザーバー参加していただき、ピアレビュー活動をご確認いただいた。(オブザーバーのご意見・ご感想の取りまとめ結果は、別途NSネットのホームページにて公表しています。)
以 上
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*1 良好事例
当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。
*2 改善提案
原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるための提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。 |
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