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柏崎刈羽原子力発電所の地震後の状況等について(第11報)
−  11月8日までの点検・復旧状況などに係る経過報告  −

平成19年11月12日
改訂0 版
日本原子力技術協会
  本第11報では、第10報に引き続き、地震後の柏崎刈羽原子力発電所の状況や東京電力を含む関係機関の取組み・動向等について整理し紹介する。
1. 原子炉建屋の応答評価について
 

  10月23日に開催された、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会構造ワーキンググループ(第6回)において、東京電力鰍謔闌エ子炉建屋の応答評価についての説明が行われた。
  今回の評価では、地震観測記録から、建屋応答の再現のシミュレーション解析を行い、それを基にした原子炉建屋の最大応答せん断ひずみを算出し、せん断ひび割れ発生の目安値(日本建築学会鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説―許容応力度設計法―1999)との比較が行われた。

(1) 原子炉建屋応答の再現シミュレーション
    以下の条件を現実的に考慮した結果、建屋応答の再現シミュレーション結果は地震観測記録と比較的良く一致した。
  @   コンクリートのヤング率の設定
  A   剛性を評価する壁の設定(「日本建築学会 鉄筋コンクリート 構造計算基準・同解説―許容応力度設計法―1999」19条の記載を満たす壁とした。)
  B   建屋周辺地盤
(2) 原子炉建屋の最大応答せん断ひずみ評価
    再現シミュレーションの条件を用いて原子炉建屋の最大応答せん断ひずみを算出したところ、すべての原子炉建屋についてせん断ひび割れ発生の目安値を下回っており、弾性範囲内に納まっていることが示された。これについては、WGの委員からも結果を否定するような大きな異論は出されなかった。
(3) 東京電力の評価結果のまとめと当面の取組み
    地震時の実情を踏まえた解析結果は、地震観測記録を比較的良好に再現することが出来た。(設計時に想定した値をもっとも大きく超えていた2号機の例を図1、2に示す。)
    解析結果の最大応答せん断ひずみによれば、原子炉建屋はおおむね弾性範囲にあることが示された。(2号機の例を図3に示す。)
    今後、現在実施中のひび割れ調査など点検結果と照らし合わせ、建屋の健全性を確認する予定。
2. 主な点検・復旧状況
 

  現在、柏崎刈羽原子力発電所では、機器等の詳細な点検・復旧作業が計画的に進められており、点検結果については、纏まり次第、東京電力鰍謔闌表されている。別添に主な点検・復旧作業の実績・計画の一覧を示す。

  これまでの東京電力鰍フ公表資料などから判断すると、点検・復旧作業において深刻な被害は認められていない。そのような状況の中で、当協会が着目したいくつかの点検結果について以下に記す。

(1)−1 7号機の水漏れについて
    7号機原子炉は平成19年10月8日に水張り作業を完了していたが、その後、以下のにじみやしみ出しが確認されたがいずれも微量であり、外部への放射能の影響はなかった。
a. 原子炉ウェルライナードレン水の検知について
 

  原子炉ウェルライナーにつながる配管のレベル計内に水が溜まっていることが確認され、傾向監視とともに水の分析を実施したところ、微量の放射性物質(アンチモン124)が検出された。
  原因は、原子炉上部の水張りに伴う水の一部がライナーを通じてレベル計に流入し、検出されたものと推定される(下図参照)。
  これによる外部への放射能の影響は無かった。
  現在、ライナーを点検中であるが、これまで、漏えいにつながる微少なキズが2箇所確認されている。確認された傷の仮補修後、炉内点検を行う予定。

b. 原子炉建屋管理区域内2階における水漏れについて
 

  原子炉建屋管理区域内2階の壁面の微細なひびからの水のにじみおよび床面の水たまりが発見された。また、漏えい水の分析結果からは、微量の放射性物質(コバルト60、セシウム137)の検出が確認された。
  漏えい量は6.5リットル、放射能量は250ベクレルでこれはラドン温泉の約30ccに相当する。
  この漏えい水は管理区域内にとどまっており、外部への放射能の影響はなかった。

      東京電力鰍ナは、漏えいはウェルの水抜きに伴う水位低下とともに減少していることから、原子炉ウェルの漏えい水の廻り込みであると推定しており、今後ウェルの調査を行い(添付工程表参照(出展:東京電力プレスリリース))、漏えい箇所を特定する予定(右図参照)。
   
  c. 原子炉建屋3階北側床面コンクリート継ぎ目部における水のしみ出し
   

  原子炉建屋3階北側の床面コンクリート継ぎ目部に僅かな水のしみ出しがあることが確認された。水の分析結果によると、微量の放射性物質(コバルト60)が検出された。漏えい量は約200cc、放射能量は約0.8ベクレルでこれはラドン温泉の約0.1ccに相当する(右図参照)。
  この漏えい水は管理区域内にとどまっており、外部への放射能の影響はなかった。

(1)−2 放射性物質を含む使用済燃料プール等の大型水槽の状況確認

  7号機原子炉ウェルライナードレンへの水の流入等に関する調査の一環として、全号機の放射性物質を含む使用済燃料プール等の大型水槽の状況確認が実施されている(確認状況一覧表は添付のとおり(出展:東京電力プレスリリース))が、現時点において、7号機以外では、原子炉ウェルライナー等からの漏えいを示す有意な水漏れ等は確認されていない。
  なお、1号機については原子炉オペレーティングフロアの下部にあたる使用済燃料プールのコンクリート壁に、スロッシングによりあふれた水(第4報参照)が浸透したものと推定される微量の水のにじみが確認され、測定の結果、微量の放射性物質が検出されたことから、東京電力鰍ナは引き続き監視することとしている(左図参照)。
資料提供:東京電力

(2)7号機制御棒の引き抜き不良について
    7号機は10月11日より燃料取り出し作業が行われていたが、燃料を取り出した後の制御棒の引き抜き作業の際に、1本の制御棒が引き抜けないという事象が発生した。
  当該制御棒に隣接する燃料はすべて取り出し済みであり、制御棒は支持金具によって安定して支持されていることから、安全上の問題は無かった。
  引き抜きができなかった制御棒については、想定される不具合に対してあらかじめ定められた手順※により、引き抜くことができている。また、11月3日から7日にかけて行われた制御棒駆動装置分解点検において、ラビリンスシール部およびラッチ機構部の寸法測定等詳細点検評価が実施されたが、原因の特定につながるような異常は確認されていない。
  原因は調査中だが、再度のスクラムにより引き抜けたことから、制御棒駆動機構の一時的な摩擦抵抗の増加が要因として考えられる。東京電力では、これまでの調査結果から、今回の事象は一過性のものであると推定しているが、今後、念のため原子炉側の機器(制御棒・燃料支持金具・案内管)点検を実施することにしている。
  点検スケジュールは別添(出展:東京電力プレスリリース)のとおりである。
    *

あらかじめ定められた手順
  当該制御棒は、通常の引き抜き・挿入操作は「電動」により行い、緊急挿入(スクラム動作)は「水圧」により行う仕組みとなっているが、制御棒を駆動させる機械の構造上想定される不具合について、あらかじめ復旧するための手順を定めている。
  今回は、当該制御棒を通常の引き抜き操作(電動)を行った後、スクラム時と同様の水圧をかけて全挿入を行い、再度通常の引き抜き操作を実施した

(3)タービン内部確認状況について
    全プラントとも全車室を開放し、詳細点検を別添の工程(出展:東京電力プレスリリース)のとおり実施する予定。
  地震発生当時、停止中であった6号機について10月11日から10月25日まで内部状況確認が行われた。これが初めてのタービン内部状況確認である。
<6号機タービンの接触痕について>
    状況確認の結果、各部に接触痕が認められたが、いずれも軽微なものであり、手入れや部品取替えにて復旧の予定である。具体的には以下のとおり。
高圧タービン及び低圧タービンの動翼、静翼に光沢が残る程度の軽微な接触痕が確認された。この接触痕は機能に影響するものではないが、念のため今後詳細点検時に非破壊検査を実施する予定。
割れが見られた主タービンスラスト軸受オイルシールリングは、新規取替にて復旧予定。
その他、軸受けメタル、グランドパッキン、油切りフィン、ダイヤフラムノズルパッキンに接触痕がみあられたが、いずれも接触の程度は軽微であり機能に影響するものではなく、手入れ若しくは部品交換にて復旧する予定。
(4)発電所建屋の傾斜変化について(中間報告)
 

 建屋傾斜変化は下表のとおりの結果となり、建屋に構造上影響を与えるような大きな傾斜は発生していない。建屋傾斜は沈下限界値(0.5〜1.0×10-3rad(1/2,000〜1/1,000):「常時の加重に対する沈下限界値の目安」建築基礎構造設計指針 2001改定(日本建築学会))に対し十分下回っていると判断できる。
 ただし、今回の地震で国土地理院の水準点が被災したため、暫定的に建屋を固定点と仮定しており、絶対的な沈下、隆起は現段階では判断できない。また、今回の測量は4級測量であり、100m程度で6mmの許容誤差がある

       
  以上

 



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