柏崎刈羽原子力発電所の地震後の状況等について(第4報) |
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平成19年7月27日
改訂1
版
日本原子力技術協会 |
1. |
当協会による現場状況の調査について |
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当協会では、職員3名で7月23、24日(23日は発電所周辺状況、24日は発電所内状況)にかけて発電所の周辺状況を含む現場状況の調査を行った。主な結果は以下の通りであった。
目視で確認した範囲においては原子炉建屋は健全な状態が維持されており、また、
原子炉は安全に停止していることを確認した。 |
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(1) |
発電所の状況 |
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a. |
7基設置されているプラントのうち、地震発生前は、3基(3、4、7号機)が運転中、1基(2号機)が起動中、3基(1、5、6号機)が定検停止中であった。 |
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b. |
運転・起動中のプラントは、地震加速度「大」の信号で、設計通り問題なく自動停止した。 |
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c. |
また、自動停止後、原子炉の冷温停止操作もマニュアル通り実施され、現在は、定検停止中のプラントも含め、7基全てが保安規定に従い安全に冷温停止された状態が継続されている。各プラントの原子炉の炉水放射能や、排気筒の放射能計測器にも指示値の異常は確認されておらず、燃料の破損はないと思われる。なお、6号機や7号機で発生した微量の放射性物質の放出についても現在止まっている。 |
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d. |
耐震クラスの高い原子炉建屋やタービン建屋は、目視で確認した範囲においては健全な状況が維持されていた。(写真1、写真2、写真3、写真4)
耐震クラスの比較的低い設備・構造物では、一部損傷が見受けられたが、現在、その状況を一つずつ慎重に確認する作業が東京電力にて続けられている。 |
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e. |
今回の調査で確認した主な状況は以下の通りである。 |
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<3号機における所内変圧器の火災について> |
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今回の地震で、3号機所内変圧器から火災が発生した。所内変圧器は、自分で発電した電気を自プラント内に設置されている機器の電源として使うために設置された機器であり、タービン建屋の横に設置されている。 |
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この変圧器本体の基礎は岩盤に杭で固定されており、一方、供給側のタービン建屋も岩着されている。しかしながら、その間にある2次側接続母線ダクトは岩盤から支持を取っていないことから、この支持が地盤沈下(約30cm)したことにより、導体とダクトが接触、短絡が発生して、漏れた油に引火し火災に至った可能性も考えられる。(写真5) |
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現在、この変圧器は使用できないが、別に設置されている起動用変圧器より受電しており、プラントの安全を確保するのに必要な電源は確保されている。(写真6) |
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<1号機における消火系配管の損傷について> |
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1号機の原子炉複合建屋の外部に設置されている消火系配管が損傷。漏えいした水が建屋の貫通部の隙間より原子炉複合建屋内に土砂とともに流入した。この結果、原子炉複合建屋の地下5階に約48cmの泥水がたまった。(写真7、写真8) |
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原子炉複合建屋の地下には、廃棄物処理系の機器が多く設置されているが、原子炉建屋の地下のように非常用炉心冷却系のポンプなど原子炉安全上の重要な機器は設置されていない。 |
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なお、現在、この消火系配管の修理は完了し水の漏えいも止まっており、溜まった水の排水作業も実施されている。 |
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<6号機における放射性物質の海中への放出について> |
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今回の地震の揺れにより、各プラントとも使用済燃料プールの水が原子炉建屋オペレーティングフロア上に溢水した。(写真9) |
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この内、6号機については、燃料交換機の電気ケーブルの床貫通部の隙間からケーブルダクトを通って、非管理区域側に漏れ出した。(写真10) |
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非管理区域における漏水は、放射能で汚染された水ではないことから、ストームドレン系と呼ばれる排水系から外部に放出される設計となっており、本事象についても、このルートを経由して海中に放出されたものである。 |
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現在、使用済燃料プールから溢水は全て処理済みであり、調査当日は、貫通部の機密性の検査が実施されていた。 |
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(2) |
発電所周辺の状況 |
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a. |
道路・港の状況 |
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長岡市と柏崎市を結ぶ幹線道路である国道8号線は崩落のため不通となっていたが、昼夜の復旧作業により7月23日開通した。また、陥没や橋などのつなぎ目での段差が多く発生したが、現状は、交通に不便を来たさぬよう早期の復旧がなされていた。(写真11、写真12)
なお、港においては特段の被害は確認できなかった。 |
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b. |
住宅の状況 |
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主に古く木造で瓦の屋根の家屋が倒壊していた。今回調査した中では、西本町で被害を受けた家が多かった。なお、7月23日現在、全壊した住宅は961棟と報道されている。(写真13) |
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c. |
その他の状況 |
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電気は復旧しているが、水道の復旧は暫く時間がかかる模様であり、給水車が多く走っていた。また、復旧作業のため、自衛隊員が多く駐屯していた。(写真14、写真15) |
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(3) |
所感 |
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事務建屋は天井の崩れが激しく、執務できる状況ではなかったが、緊急時対策室と会議室の一部を使って被害状況の把握や対応策の指示等が行われていた。(写真16)
事務建屋の中に設置されている緊急時対策室は、当初、事務建屋の損傷により入口扉が開かず、緊急時対策室の中に準備されていた自治体、消防へのホットライン等が使用できなかった。また、水道の供給が止まっていることから、トイレは一部を除いて使用不可の状態が続いている。これらは、今後の緊急時対応の教訓になると考える。
復旧には相当の時間がかかると推測されるが、発電所員は士気高く頑張っていることが見てとれたし、当協会に対しては、「正しい情報を正確かつタイムリーに海外や日本全国に伝えて欲しい」との熱い気持ちが強く伝わってきた。
今後、当協会としては、第3者的立場から、発電所状況の調査・確認等を行い、対外公表していくことにしている。 |
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2. |
その他 |
(1) |
発電所では7月24日時点で新たに、6号機の原子炉建屋天井クレーンを駆動させる軸の継ぎ手に破損が確認された。東京電力によれば、クレーン本体は両端がレールに支えられているため、軸が破損しても落下する可能性はないとのことである。 |
(2) |
これまで全体で約70項目の設備に被害が確認されており、東京電力では引き続き詳細な調査を行っている。 |
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本内容は、東京電力鰍ノおける今後の詳細調査により更新されるものである。 |
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参考リンク先 東京電力 原子力安全・保安院 原子力安全委員会 |