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東京電力株式会社福島第一原子力発電所にて
第112回安全キャラバンを実施
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 平成21年3月5日、福島県双葉郡大熊町および双葉町にある東京電力株式会社福島第一原子力発電所において、第112回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 安全講演会には、福島第一原子力発電所の所員および協力企業の社員120名が出席されました。

 講演会の冒頭、東京電力株式会社 福島第一原子力発電所長 小森 明生様から、

 「うまずたゆまず原子力の安全や文化風土に係る取組について、常に我々は自己反省やセルフチェックを積み重ね、改善していく姿勢が重要であると考えている。その際、我々自身の気づきを梃子にしつつ、内部の議論とあわせて外部のご意見も取り入れながら安全を高めていくことが、事業者としての活動ではないかと思う。つまり、内部から盛り上げていく部分と外部からご指摘を受ける部分の両輪があって、我々の活動がスパイラルアップしていくものと感じている。
 また、外部の取組にも、ピアレビューのようにある程度第三者性や客観性が付与されているもの、あるいは、法令が要求する国の検査のようなものなど色々あるが、この安全キャラバンの性格というのは、もう少し柔かく我々事業者の活動に入り込んで意見交換し、安全文化を高めていくというところが狙いではないかと思う。
そういう意味で、本日は我々が抱えている問題意識を共有していくためにも、当所の職員だけではなく、この場で一緒に働いている協力企業のみなさんにもご参加いただき、立場を越えた形で意見交換できるよい機会と感じている。みなさんの積極的なご質問やご発言をお願いしたい。」

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、東北大学名誉教授・東北大学未来科学技術共同研究センター 客員教授 北村 正晴 様から「組織の個性と安全文化」と題してご講演いただきました。

 

講演では、

  東北大学名誉教授
東北大学未来科学技術共同研究センター
客員教授 北村 正晴 様

 原子力産業界では安全文化の重要性が指摘されて久しい。安全文化のIAEAによる定義も原子力の世界では広く知られており、原子力業務に従事する人間の多くが何度も見聞きしていよう。安全文化の醸成を目指しての組織的取り組みも、各事業所で積極的に進められているはずであるが、活動を進める際には、文化の多様性と組織や個人が抱えている異文化要因への配慮が求められる。
 ナノテク、バイオなど原子力以外の業界でも、技術と社会の間には現在“きしみ”が見られる。そのように社会に理解されない技術のリスクは結果的に大きくなることが懸念されるため、対外コミュニケーションの継続的な実施が重要となる。規制行政の取り組みとしては、「事業者の安全文化・組織風土の劣化防止に係る取り組みを評価するガイドライン」の策定を行っているが、この中では安全文化の考え方は決して杓子定規ではなく、柔軟性を保持している。
 組織風土と安全文化に関し、熊本大学の吉田先生が提唱しているモデルでは、長い時間をかけて「風土→文化→規範→行動→規範→文化→風土」というプロセスを辿り相互影響が起こり、風土や文化が変容していくこととなる。安全を尊重するという基本理念が担保されている限り、安全文化の形は多種多様であって構わない。
大きく言えば安全文化とはコミュニケーションである。ただし、コミュニケーションには固有の難しさがあることから、状況を設定したり真意を確認したりしないと実効的なコミュニケーションとしては成立しない。

 異文化コミュニケーションの前提として、差異を認めて自覚することが重要である。加えて、効果的な異文化コミュニケーションのためのテクニックとして、同情すなわちシンパシー(Sympathy)よりも共感すなわちエンパシー(Empathy)を重視した立場を取るべきであり、独善的な対話とならないようアサーティブという概念の導入が望まれる。あわせて、認識が大きく異なる相手とのコミュニケーションにおいて納得と了解を取り付けていくためには、事実の説明のみに固執するのではなく、物語的な説明を試みることで、対立を解消できる可能性がある。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

●組織内及び外におけるコミュニケーションのコツを分かりやすく、具体的にご教示頂き、ありがとうございました。エンパシーを意識したコミュニケーションに取り組みます。ありがとうございました。

●コミュニケーションがいかに大事であるか、改めて実感いたしました。状況設定やお互いに共有すること、アサーティブ対話などを考えながら、コミュニケーションを取っていきたいと思いました。

●当社においても企業風土の改善、職場内における一体感、醸成の一方策として、協力企業の方も含めたコミュニケーション力向上に係る研修などを行っている所であり、そういった面においては自分が行っている活動の必要性について、他面からの視点も必要であり、かつ、これが正解といった方策は無く、継続することが重要である事を再認識するに有意義な内容でした。

●異文化コミュニケーションの難しさは、常々感じていました。皆、育ってきた環境が違いますから、共感を持ってコミュニケーションを取る、理解を深めてコミュニケーションを進めること、アクティブリスニング、オープンエンド等非常に参考になりました。

●安全文化の醸成には、異文化コミュニケーションへの配慮が重要との先生のご主張が良く理解できた。事実だけでは無く、物語性を持たせることが効果的であることが良く分かった。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 安全情報交換会では、「安全文化醸成に係わる活動」について、福島第一原子力発電所の平成20年度評価および平成21年度の計画を紹介していただき、その後、意見の交換を行いました。

以 上

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