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三菱電機株式会社系統変電システム製作所
第111回安全キャラバンを実施
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 平成21年2月27日、尼崎市塚口本町にある三菱電機株式会社系統変電システム製作所において、第111回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 安全講演会には、三菱電機株式会社系統変電システム製作所の社員及び近郊の三菱電機事業所社員82名が出席されました。
 講演会の冒頭、三菱電機株式会社系統変電システム製作所長 中谷 義昭様から、 当製作所は、伊丹地区、赤穂地区、神戸市の西神地区、そして神戸地区の4拠点において、ワンストップの系統変電事業を遂行すべく、事業を展開しています。原子力分野に関連する製品としては、伊丹地区で開閉装置、赤穂地区で変圧、西神地区で保護リレー等を製造しています。また、既設プラントの保守や点検工事にも携わっています。
 当製作所では、常日頃から「安全が全ての業務において優先される」という行動指針を掲げています。具体的な活動としては、昨年度から体系的なリスクアセスメントを始め、事故が起こる前に災害の芽を摘み取ることを目指しています。また、ヒューマンファクターの観点から、1人1人が自分の身を守ることが必要であると考え、所長である私自身をはじめ、部長、課長、係長に至る各管理者層が直接現場を巡回するパトロール活動を定期的に実施しています。このような活動を通して、災害の芽を摘むだけではなく、現場における教育・指導、緊張感の持続に効果が期待できるのではないかと考えています。
 本日は「技術者の倫理」というテーマで、札野先生にご講演いただきます。技術・技能を原点とする我々メーカーにとって、技術者倫理は今後ますます重要な要素になっていくものです。また、原子力を専門に担当しておられる方々と同じ感性を共有する場を持つことで、日常の業務に没頭している当所スタッフがリフレッシュできる、絶好の機会になるのではないかと考えています。
 本日の事例紹介や討議が、我々の安全・品質・倫理に対する考え方や取り組みを強化するきっかけとなることを願っております。

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、金沢工業大学教授・科学技術応用倫理研究所長 札野 順 様から「元気の出る技術者倫理―自己実現、安全・安心、価値―」と題してご講演いただきました。

講演では、

  金沢工業大学教授・科学技術応用倫理研究所長
 札野 順 様

 「倫理」という言葉には堅苦しいイメージがあるが、「何かルールがあって、それを守らないといけない」というようなものではなく、行為・行動について、「何が良いのか、何が悪いのか」を考えるものである。
 技術者の教育に関しては、アメリカではABET(The Accreditation Board for Engineering and Technology)という組織が中心となり、厳しい基準を定めている。一方、日本では、ABETの日本版とも言えるJABEEという組織が作られ、「人類の幸福・福祉とは何か」について考える能力と素養をはじめ、社会に対する責任を自覚する能力(技術者倫理)などを学生に身につけさせるように要求している。
 技術者倫理を私なりに定義すると、「技術者がある社会集団において、研学・経験・実務を通して獲得した数学的・科学的知識を駆使して、人類の利益のために自然の力を経済的に活用する上で必要な行為の善悪、正不正や、その他の関連する価値に対する判断を下すための規範体系の総体、ならびに、その体系の継続的・批判的検討。さらに、この規範体系に基づいて判断を下すことのできる能力である」となる。整理されていない文章のように感じるかもしれないが、技術者倫理は座学ではなく、実践知であるということを強調するため、敢えてこのような定義にしている。
現在、技術者はさまざまな場面で倫理に関する問題に直面し、ジレンマに陥っている。彼らがジレンマに陥ることなく、元気に仕事ができるようにするためには、技術者倫理の中で謳われている「公衆の安全、健康、福利」という基本となる価値に対し、整合性を持つ企業や組織の価値群を確立し、その価値を共有するためのプログラム、すなわち「価値共有型の倫理プログラム」を作り上げることが必要である。この価値共有型の倫理プログラムには、倫理綱領の策定、経営トップや管理者の倫理に関するコミットメントとリーダーシップ、責任者や責任部署の明確化、倫理に関するコミュニケーションの推進、倫理に関する教育研修の実践、ヘルプラインの設置の6つ要素が求められる。

 技術が急速に進化し続けている現代、何が大事なのかという判断ができるのは技術者だけである。そのような判断を迫られた時、技術者が倫理的なジレンマに悩むことがないような環境を整備しておかなければならない。技術者倫理を重視した倫理プログラムを組織が持つことで、技術系事業が社会的責任を果たしながら、社会にとって不可欠な役割を担うことができるのではないだろうか。ルールで縛り付ける「萎縮の技術者倫理」ではなく、価値の共有を図っていく「元気の出る技術者倫理」を目指してほしい。

との貴重なお話を頂きました。

 

講演会終了後のアンケートでは、

●大変わかりやすいお話で「倫理」というイメージが良い印象で残るご講演でした。倫理というイメージを感じさせないように教育できるのではという感触を 得ました。技術者に元気を出して実力を発揮させるためにK/Hを少なからず 学びました。  
●技術の発展が新たな倫理観をもたらすというお話は興味深い。後半の話題も じっくり聴きたかった。もう30分位、延長しても良かったと思う。
●技術者とは何か。当社のコーポレートステートメント「CHANGE FOR THE BETTER」 の目指すべきものについて、深く考える機会となりました。
●倫理プログラムに関して「コンプライアンス型と価値共有型」のベストミック スを探る作業を常に回して行く事が重要と感じました。
●技術者倫理というこれまでのきちんと考えていなかった問題について講演を お聞きし、驚きであり新鮮であった。
●日々の業務に追われ、情報があふれ何かと心のゆとりがないなかで、自身のみならず会社組織の一員として「倫理観」を振り返ることのできた、ためになる講演会でした。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

 

 

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 安全情報交換会では、今回の安全キャラバンを実施する前に、今までに三菱電機殿が実施してきた「技術者の倫理」に関連した安全文化活動の醸成の一環として、「気付き事項」、「留意事項」「問題点」等6項目を抽出していただき、午後のグループ討議で「経営の中で技術者の倫理を如何にとらえ、現場に定着させるための方策について」をテーマにして、講師殿を交えてグループ討議を実施した。

 

以上

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