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第107回安全キャラバンを実施
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平成20年10月9日、横浜市磯子区にある株式会社IHIにおいて、第107回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 

 株式会社IHIの社員84名が出席されました。

 講演会の冒頭、原子力事業本部 副本部長 坂井 彰 様から「IHI原子力事業本部は、原子力発電プラント・使用済み核燃料再処理施設向け原子力機器・化学プラント用大型機器等の設計製作に関する事業を展開しており、その中でも、品質最優先という方針を定めております。万が一、不適合等の場合には、技術的な側面あるいはマネジメントの側面から要因を分析して再発防止を図ることになりますが、いわゆるうっかりミスや勘違いといったヒューマンエラーに関わる部分については、人間の生身に直結する問題であるため、防止するのはなかなか難しいと思っております。本日の田所先生のご講演を参考にさせていただき、これからもヒューマンエラー防止活動に努力していきたいと考えております。」とのご挨拶を頂きました。

 ご挨拶の後、日本ヒューマンファクター研究所 主任研究員 田所 健 様より「ヒューマンエラーは防止できるか?」と題してご講演頂きました。

 

 

講演では、

 日本ヒューマンファクター研究所 
主任研究員 田所 健 氏

●ヒューマンファクターの概要
ヒューマンファクターは人間の能力、限界、特性などに関する知見の総称であり、人間に特有の問題である。ヒューマンファクターはエラーを引き起こす要因ではあるが、決してマイナス面だけではなく匠の技のように機械を超えるプラス面もある。M−SHELモデルは、システムの安全を考えるうえで最も判り易いヒューマンファクター・モデルとして広く一般に用いられている。

●ヒューマンエラーの要因
ヒューマンエラーは人間が引き起こすエラーの故に人間の特性と言える。その原因は人間の愛すべき一面でもあり、完全に無くすことはできない。人間の脳にはエラーというモードが無く、一生懸命やった結果がたまたまエラーとなっただけのことである。同じエラーでも初心者と熟練者では大きな違いがあり、管理者はこの違いをよく理解しておく必要がある。

●ヒューマンエラーの対策
ヒューマンエラーの対策は、原則的にはエラーの発生をできるだけ少なくするやり方(エラー・レジスタンス)、起こってしまったエラーを事故に結び付けないようにしたり、事故になっても人間に与える被害を局限させるやり方(エラー・トレランス)の二つがある。作業の段階に応じていろいろな具体的方策があり、それらについてよく理解しておくことが大切である。                  

●安全の考え方
ローレンスが「安全とは一定の許容限度を超えないとされる危険性である」と言っているとおり、そもそも安全などは存在しないと考えるべきである。
1970年代から80年代にかけて、宇宙、原子力発電所、大型航空機など複雑で大型のシステムが出現して従来無かったような事故が発生した結果、今までのような事故から学ぶやり方だけでは対応できなくなった。そこで予防安全、つまり日常に存在する不安全要素を事前に見つけ出し、先に手を打って除去していく積極的な安全手法が開発され発展した。

●安全文化の重要性
1986年に旧ソ連で発生したチェルノブイリ原子力発電所の大事故は、世界を震撼させた。原子力発電所が世界各地で稼動している状態での事故を憂慮したIAEA(国際原子力機関)は、INSAG(国際原子力安全委員会)において事故の原因を分析し、1991年「安全文化」と題する報告書を発表して安全文化の概念を全世界の原子力関係者に提言した。そして今日では、安全文化は広く理解され、各種企業の間にも浸透しつつある。

●総括
人間である以上、ヒューマンエラーをゼロにすることはできないが、減らすことはできる。また、エラーを事故に結び付けないようにすることはできる。不幸にして事故になっても、被害を可能な限り局限することはできる。

との貴重なお話を頂きました。

 

講演会終了後のアンケートでは、

●とてもわかりやすく、また失敗をしてはいけないというプレッシャーを与えず、失敗をなくすためのモチベーションが上がりました。
●本講演で得られた情報は、仕事に反映可能であり参考になりました。
●組織の間及び安全が重要視されるようになった結果、人間がエラーをするメカニズムについて詳しくお話していただき、大変有意義でした。ただ、カンタス航空の事例のような具体的なケースの話をもう少しお聞きできたらさらによかった。
●ヒューマンエラーを完全になくすことはできないが、それを減らすための種々の方策は大変参考になりました。これらの方策を継続して実施することが重要と思います。

 

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 

 安全情報交換会では、株式会社IHI殿からご要望があった「職場の安全風土調査」について、株式会社原子力安全システム研究所 ヒューマンファクター研究センター 安全風土グループリーダー 福井 宏和 様、同副主任研究員 彦野 賢 様より詳しくご説明頂いた後、意見の交換を行いました。

以 上

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