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 平成20年10月1日(水)〜2(木)の2日間に東京都港区の三田NNホールにおいて、会員事業所の中堅管理者を対象とした第17管理者セミナーを開催し17名の方に参加いただきました。今回の管理者セミナーは、受動的な講演だけではなく、演習を通じて参加者がより能動的に安全文化の習得・構築に役立てていただくことを目的として、航空の分野等で行われているCRM(Crew Resource Management)訓練の体験をしていただきました。

 第一部:講演「新しい時代の訓練を考える -航空業界で実績のあるCRM訓練の体験- 」

      日本ヒューマンファクター研究所 研究開発室 室長 石橋 明 氏

日本ヒューマンファクター研究所
研究開発室 室長 石橋 明 氏


 日本ヒューマンファクター研究所 研究開発室 室長 石橋 明氏をお招きし、CRM訓練の紹介がありました。
CRMとは、航空分野で開発されたCrew Resource Managementの頭文字をとったものである。これは、「安全な運航を達成するために、コクピット内で得ることができる利用可能なすべてのリソース(人や機器、情報といったもの全てを指す)を有効に活用しながら、最適な意志決定を行い、チームの作業遂行能力を発揮させる」という考えであり、そのためのトレーニングをCRM訓練と呼んでいる。
CRM訓練は30年ほど前から研究・構築が進められてきたが、その背景には、航空機の進歩に伴って頻繁に発生するようになったCFIT(Controlled Flight Into Terrain)事故の存在が深く関わっている。CFIT事故とは、機体に重大な故障がないにもかかわらず事故に至ってしまうケースであり、これらの事故が頻繁に発生したことから、ヒューマンファクターズへの対策が重大課題となったのである。代表的な事故としては、トライスター機のマイアミ事故、ユナイテッド航空の燃料切れ事故、テネリフェで発生したジャンボ機同士の衝突事故などを挙げることができる。これらCFIT事故の背後要因を分析し、研究を重ねた結果、ベテランパイロットによる「不適切な意志決定」と「状況認識の喪失」が、事故原因の大半であることを突き止めた。そこで、「ベテランパイロットに安全の重要性を気付かせること」を緊急課題として掲げ、「気付きの文化」を醸成するためのCRM訓練が構築されることになった。
 ベテランパイロットに気付いてもらうためには、ある程度の情報を整理したうえで、ディスカッションを行っていくことが効果的である。豊かな経験を活かしながら議論を行うことにより、例えばコミュニケーションが如何に大事なものであるのかという価値観に気付いてもらう。新たな価値観に気付くことができれば、それが意識となり、最終的には行動となって表れるのである。
CRM訓練は、「コミュニケーション」、「意志決定」、「チーム作り」、「状況認識」、そして「ワークロード調整」の5つ要素に関するテクニックが習得できるように構築されている。各要素にはそれぞれ3つの小項目が設定されており、全て合わせると15のCRMテクニックがある。
これらのCRMテクニックを駆使することで、航空業界ではより安全な運航を実現している。その一例としては、1989年にアメリカのスーシティで発生したDC-10機の事故を挙げることができる。全ての油圧系が故障するというこの事故は、状況的には1985年に発生した日本航空の事故と同じであった。しかし、CRMテクニックを駆使した結果、乗員・乗客の半分以上が無事に生還できている。

現在、CRMは他の分野からも注目されており、海運、航空管制、医療、製造業、鉄道などの分野で実際に導入が進められ、確かな成果をあげている。

2日目: CRM訓練の体験(演習)

CRM演習の様子


 前日に引き続き、日本ヒューマンファクター研究所 研究開発室 室長 石橋 明氏を講師として

・CRM訓練(コミュニケーション)
・航空事故の事例研究
・CRM訓練(状況認識)
・CRM映像演習(コミュニケーション)
・CRM映像演習(状況認識)

等のCRM演習の体験を実施しました。

講演会終了後のアンケートでは、

 
●映像を利用した「講演」と映像を利用した「演習」はわかりやすい。

●グループ内討議により、参加者との一体感が生まれた。

●グループ発表を聞いて、自分で足りない部分があることを確認できた。

●日常の生活に反映できる事が数多くある

●テキスト以外の映像コンテンツの使用方法は非常に良かった。

●演習を受ける人が共通の認識を持つことができた。

●1事象毎に適切に区切り、ミーティングを実施したことが良かった。

●今回のケーススタディーは私の職場そのもののテーマが入っており、利用価値が高い。

など、多数のご意見をいただきました。  



以 上

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