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関西電力(株)美浜発電所にて
第106回安全キャラバンを実施
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平成20年8月5日、福井県三方郡美浜町にある関西電力(株)美浜発電所において、第106回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

全講演会の様子

 

 関西電力(株)美浜発電所の社員、および協力会社の社員約65名が出席されました。

 講演会の冒頭、美浜発電所長 片岡 秀郎様から、

  「美浜発電所では2号機のトラブルにより1年を超える定期検査を先月30日に終了し、夏季需要ピークを前に3機すべての運転ができた。これは、所員、協力会社の皆様が確実な保守管理に取り組んでいただいた結果と感謝している。
一方、当社の3発電所においては、最近ヒューマンエラーに起因するトラブルや労働災害が多く発生しており、より一層安全の確保と安全文化を醸成する必要があることを痛感している。
いまから、全日空整備本部の小堀様からの講演をいただくが、航空分野も原子力と同様、安全規制や社会からの安全への要請が厳しく大変なご苦労をなさっている。また、ヒューマンファクターへの取組みも活発に取り組んでおられることから、業種は異なるが、安全に対する思いは、我々と共通するものが多い。
本日参加された皆様には、講演を清聴し、皆様方それぞれの活動の参考としてほしい。」

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、全日本空輸株式会社 整備本部 品質推進室 品質保証部 副部長 兼 品質企画チームリーダー 小堀 寿亮 様から「ANA整備部門におけるヒューマンファクターズへの取組み −ヒューマンエラーの回避・防止対策とその実際 −」と題してご講演いただきました。

 

講演では、

 全日本空輸株式会社
 整備本部 品質推進室 品質保証部
 副部長 兼 品質企画チームリーダー 
小堀 寿亮 氏

◆ 航空機の事故は、技術開発によりハードに起因するものは相対的に減少する一方で、人間が介在するものが増加傾向にある。これを受け、世界の航空業界全体として、1980年代ごろからヒューマンファクターに関する取組みが進められてきている。
 航空機の整備の現場では、8割が目視点検であり、人が介在するエラーをどうしても排除できないという現実がある。そのような環境で、人間のエラーをいかに減らし、たとえ発生したとしても後工程につなげないということをコンセプトに対策を続けている。


◆ 耐空性の維持を目的として実施される航空機の整備において重要な取組みとして、航空機メーカーの整備プログラムを参考に、ANAをはじめとしたエアラインが自社固有の条件を考慮した整備プログラムを作成することがあげられる。また、整備上発生したさまざまな不具合に対しては、自社のプログラムの見直しを行うとともに、不具合情報をメーカーや監督官庁に伝え、必要に応じメーカーなどからのフィードバックを受けるという、関係機関も含めた大きなPDCAの枠組みに基づき、より高度な安全性を目指している。


◆ ANAでは固有の品質保証の特徴として、重要な点検項目を除き、ほとんどの作業を本人が自分自身で確認(Self-Inspection)し、作業者自身が品質保証を確保する体制を採用している。そのために、認定作業者制度により、品質を守るための作業者のスキルを品質保証部門が認定し、スキルに応じた作業割り当てを行うとともに、マニュアルの中に品質保証部門が作成したQAブリテンを入れて、作業者に作業のどの部分に落とし穴があるのかを気づかせる「確かめと見直しのポイント(Self Inspection Point)」を明示している。さらに、「タグ付け」「作業前ブリーフィング」のようにマニュアル以前の基本となる心構え・動作を守ってもらうために「ベーシックマナー集」により教育を行っている。このような取組みを通じエラー・コントロールを行うとともに、不具合については自社で開発した分析手法である「ERA分析」によりエラー・マネジメントを実施している。さらに、ヒューマンファクターズ教育訓練を通じて、作業者全体の能力の底上げを図っている。


◆ 航空業界では、2007年から義務付けられている安全マネジメントシステムの導入を受け、安全文化の醸成やヒヤリハット活用による未然防止に積極的に取組むことが求められることとなった。航空分野と同様に高度な安全が求められる原子力分野の皆様との意見交換を通じ、さらにヒューマンファクターへの取り組みの向上に努めたい。

との貴重なお話を頂きました。

講演会終了後のアンケートでは、

● なかなか他社に話しづらい失敗事例を具体的に盛り込んでいただき、また、導入部において保全(整備)の実態を紹介していただいたことで理解はしやすいプレゼンでした。「全ての作業をマニュアルを見て作業する姿が望む姿なのか」というANA品質部門としての悩みをストレートに出したお話で親近感が持てた。
● ANA整備部門でのヒューマンファクターへの取り組みとして過去の事例の原因を徹底的に追究し、再発防止に向け、取り組んでいらっしゃることが非常に理解できた講演でした。また、安全マネジメントシステムの導入に伴い、ANAでの組織的レベルから、各個人レベルになるまで、安全文化の構築に向けての取り組みやTAKO(注:ヒヤリハット等を集めて活用するシステム)の利用による現場での声、各社員の気づき点、問題点も積極的に情報共有し、今後の更なる改善に向け取り組まれていることは、企業として見本とすべきスタイル、形態であるように感じる。
● 現場最先端での整備の実態を具体的に説明していただき、参考になりました。これからは、ハードのみならず、ヒューマンファクターズを含めたソフト面の取り組みが重要だと改めて認識しました。
● 原子力の保全業務と航空業界の整備業務は社会、規制から求められる要件が酷似しており、大変参考になった。特に不具合情報の反映、基本動作徹底のためのベーシックマナーなど参考になる点が多大であった。
● 御社が整備部門で取り組んでいるHFへの取り組みと内容が良く理解できました。弊社も悩んでいる点には、共通部分が多く共感する点がいくつかあり、大変参考になりました。また、安全文化醸成活動についても取り組みがよくわかり参考になりました。
● ヒューマンエラー事例の紹介を通して、業種は違ってもヒューマンファクターは共通性のある問題であることを再認識した。TAKOの取り組みは大変良い発想であると思った。
● ANAにおける品質管理、ヒューマンファクターに関する対応状況を知ることができ、発電所と共通している点、活用できる点等に気づくことができたため、大変有意義な講演であった。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 

 安全情報交換会では、関西電力(株)美浜発電所からご要望のあった「製造部門におけるヒヤリハット事例の有効活用」について、富士電機システムズ(株)発電プラント事業本部 川崎工場 原子力部 課長 佐藤 卓充 様 においでいただき、詳しく紹介をいただきました。
 紹介の後、上記の取り組みについて意見の交換を行いました。

以 上

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