安全講演会 |

安全講演会の様子
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株式会社ジェー・シー・オーの社員24名が出席されました。
講演会の冒頭、代表取締役社長 宮嶋 良樹 様から「事故から今年の3月末で8年半が経過した。あの事故により、操業当初からご支援・ご理解いただいた近隣の皆様の信頼を損ねてしまったことを大変残念に思う。近隣にご迷惑をおかけすると共に、我々の仲間である2名の社員を失ったという重大な事故の反省から、「絶対安全と絶対無事故」、「基本を大切に、基本を守る」ということを行動指針としている。事故後から現在まで、従業員30名程度で事故処理の業務を続けている。事故処理業務については、基本を忠実に守って愚直に与えられた責任を果たすということを念頭に進めてきた。日頃、外部からの刺激を受けることが少ないため、この機会によい刺激を受けて、今後の安全活動に役立てて参りたい。」とのご挨拶を頂きました。
ご挨拶の後、東北大学名誉教授・東北大学未来科学技術共同研究センター 客員教授 北村 正晴 様より「原子力と社会の関係を考える −個人・企業・社会の関わり見直しから−」と題してご講演頂きました。
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東北大学名誉教授
北村 正晴 氏
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●現在の日本では、原子力担当組織と社会の間に意識の大きなギャップがある。一般市民は原子力技術の危険を強く意識し、大きな災厄が起こることを懸念している。一方で、原子力技術に従事する実務者、技術者側には、社会が原子力を不当に危険視しているという不満がある。この「社会の側には不安があり、原子力の側には不満がある」というギャップと、そこから生じる様々な問題をどう解決すべきかを考える。
●技術と社会との関係を見直し、新しい関係を構築することを目指した「対話フォーラム」という実践活動を進めている。実際に立地地域の方々と向きあい、原子力の諸問題について対話を繰り返すことで、原子力と社会の間で起こっているさまざまな困難の背景を理解し解決するための手がかりを見出す試みである。
●取組みのはじめの段階では企画の真意について必ずしも納得されてはいなかったが、回を重ねるにつれ、対話の意義を受け入れ、専門家に対する信頼感を持つ参加者が増えてきた。原子力技術に対する具体的な理解も変化し、立地地域からの参加者と原子力専門家の双方に、新しい発見や考え方の変化が生まれている。課題は山積であるが、原子力専門家と地域社会の関係を作り直すためこのような場を続けていくことの意味は極めて大きいと考えている。
●社会の中で原子力系企業が果たすべき責務、企業の中で個人が果たすべき責務、それらをしっかりと実行し、原子力施設の安全操業が持続できる実績を示すことが、不信感の低減につながる必要条件であろう。また安全に直接の影響はない程度の些細なトラブルについても、不適切な対応を示すことなく、結果として社会の不安を増大させないような実績も必要である。
●そのような努力を原子力の現場に要請する以上、筆者を含めた学術分野に所属する研究者、教育者も、原子力専門家として必要な活動を行うことは当然の責務である。社会に対する働きかけを始めた専門家集団は筆者らの他にも増えつつある。このような社会へ向けた活動を社会と原子力の関係改善に役立たせていくためには、現場での安全実績、不適切行為の排除は欠かせない。様々な現場に働く原子力事業従事者の皆様にはぜひそのための一層のご尽力をお願いしたい。
との貴重なお話を頂きました。
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講演会終了後のアンケートでは、
●事故が起きてから、今現在も批判の中で日頃生活しています。今日の講演で私の知らない所で良心的に考えていてくれる方々もいることに気付きました。生産性もなく、施設の管理をしている会社で肩身が狭い思いもしています。しかし、原子力が必要であることをこれからも一人でも増えることを祈ります。
●自分が変れれば、少し前向きに考えてみようと思います。(事故を起こした会社だからという意識を前向きに・・・)
●今回の講演は、とても「ホッ」とする話しで少し楽になったり、安心しました。これからも今までどおり頑張れば、分かってくれる人が少しずつ増えてくることを信じて良いのかな・・・と思いました。
●我々原子力事業に従事する者の地元の方々との対話や情報開示の重要性を認識することができました。また、我々のように「守りの活動」に専念している者にとって、その活動の重要性を認めて頂いたことが、大変励みになります。
●人間は、話し合い(コミュニケ−ション)をしなければ、お互い分かり合えない、ということを改めて感じました。
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などのご意見 ・ご感想をいただきました。
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安全情報交換会 |

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安全情報交換会の様子 |
安全情報交換会では、株式会社ジェー・シー・オー殿からご要望があった「職場の風土調査」について、株式会社原子力安全システム研究所 ヒューマンファクター研究プロジェクト 主任研究員 福井 宏和 様、同副主任研究員 濱崎 賢一 様より詳しくご紹介頂いた後、意見の交換を行いました。
以 上 |