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第102回安全キャラバンを実施
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平成20年2月7日、茨城県東茨城郡大洗町にある日揮株式会社技術研究所において、第102回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

全講演会の様子

 

日揮株式会社の社員および協力会社の職員約60名が出席されました。

 講演会の冒頭、日揮株式会社 技術研究所長 沼田 守様から、

 「原子力は日本では非常に重要な電源であるが、最近いろいろな不祥事やトラブルで信頼が揺らいでいるということがあり、日本原子力技術協会では、安全意識の向上や安全文化の醸成を行い、原子力に対する信頼を回復していこうという趣旨で活動している。その活動の1つとして、安全に関する講演と安全に関する情報交換を通じて、安全に対する意識を高める目的で安全キャラバンが行われており、今回この技術研究所で安全キャラバンを実施することになった。
 この技術研究所の活動は、原子力のみならず、石油・ガスからバイオマスや、はたまた薬品工場向けの技術開発など非常に幅広いので、今日お話しいただく内容も、皆さんに役に立つようにということでヒューマンエラーに関するお話をしていただくことになった。
 今日は「ヒューマンエラーと安全文化」という表題で北九州市立大学教授の松尾先生に話をしていただく。きっと皆さんの日常の活動に役に立つものと思うので、ぜひ熱心に聞いていただきたい。」とのご挨拶をいただきました。

 

 ご挨拶の後、北九州市立大学 文学部人間関係学科教授 松尾太加志様から「ヒューマンエラーと安全文化」と題してご講演いただきました。


講演では、

 北九州市立大学
文学部人間関係学科教授 松尾太加志 様

○なぜヒューマンエラーを起こすのか?
 人間は,現実世界に適応的に生活している動物である。進化の歴史を考えると,細かな正確さが要求されるような環境で生活してこなかったため,正確さよりも効率を優先させており,正確で論理的な行為や決定ができるはずはない。そのため,エラー(ヒューマンエラー)を起こすのは人間の基本的特性である。ヒューマンエラーが問題になるのは,@人間がエネルギーの大きな道具や機械を操作するにようになった,A分業がなされ,情報伝達がうまくいかなくなったためである。つまり,人間個人の問題ではなく,情報を伝達するしくみやモノの問題である。

○ヒューマンエラーの防止対策
 ヒューマンエラーを防止するには,当該の作業をなくすこと,エラーが発生しにくいようにすることが必要である。しかし,人間の改善には限界があるため,フールプルーフな設計等が必要となる。さらにエラーが生じても,エラーを検出すること,被害を最小で済むようにしなければならない。エラーの検出には,外的手がかりのしくみを作ることが大切で,外的手がかりとしては,対象,表示,文脈,ドキュメント,電子アシスタント,人の6要素が考えられる。しかし,エラーを発見しても,それを指摘し,修正し,エラーを回復できるシステムや文化を作らなければ,チームエラーとして残ってしまい,事故防止にはつながらない。個人としては,作業スキル向上,リスク認知を高める,専門的知識を高めることが必要だが,さらに,安全文化のために何を理解すべきかを共有することが大切である。

○安全文化
 安全文化を確立には,組織としての取り組みが必要である。個人の行動は,個人の利害に依存するため,安全行動はコストとして受け取られ,安全行動にはつながらない。組織として作ったルールに,例外規定が存在していたり,遵守することにコストがかかってしまうと,遵守されないことが規範として確立してしまう。安全なシステムを確立するには,事故を隠したり,事故当事者に罰を与えたりすることではなく,事故やヒヤリハットを教訓とする「学習文化」の確立が必要である。事故当事者を罰したり,解雇したりすることによって問題解決を図るのではなく,事故原因を明らかにし,事故防止を目指し,事故を今後の学習に活かすことが必要である。むしろ,事故当事者を免責にし, 事故原因を究明し,将来発生するかもしれない多くの犠牲を防いで公共の利益につながるようしなければならない。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

●“人はエラーを起こすもの”との考え方に立った、安全への取り組みが重要との話はとかくエラーを発生させないシステム作りを考える方向と大きく異なるものであり、今後の考え方に大いに参考になりました。具体的な対策としては種々多面的にならざるを得ないと考えますが、研究所に合わせた取り組みに発展できるよう進めていくことが必要と、思いを強くしました。本日はありがとうございました。
●安全に対する所員の意識レベルを高めようとして、取り組んでいるところなので、非常にタイムリーな内容であった。
●具体的な事例が豊富に示され、非常に理解しやすかった。特に最初の「ヒューマンエラーを完全に回避できない」のは何故なのか良くわかったので、その後の内容が呑み込みやすかったと思う。内容のどれもが、参考になるものだった。更に、最後の「安全文化」は今後ぜひ意識して業務にあたりたい。同様の話は過去にも聞いたことはあったが、今回ほど意識に入ってきたのは初めてです。有意義でした。
●「エラーを起こすのは人間の基本特性」とのタイトルを見て、今までモヤモヤしていた部分が晴れた気がします。この言葉を心に刻むと、他人のエラーに優しく接しられると思います。いくつかの貴重なキーワードありがとうございました。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

この後、日本原子力技術協会 NSネット事業部 計画グループリーダー 浜田より当協会の活動概要の紹介を行いました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 安全情報交換会では、日揮株式会社様からご要望のあった「ヒューマンエラー防止活動」について、(株)ジェー・シー・オー 東海事業所施設安全管理部 安全管理グループ長 佐藤 克典様においでいただき、詳しく紹介していただきました。

 紹介の後、上記の取り組みについて意見の交換を行いました。

 

以 上

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