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日立GEニュークリア・エナジー(株)にて
第98回安全キャラバンを実施
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 平成19年10月12日、茨城県日立市にある日立GEニュークリア・エナジー(株)日立事業所において、第98回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 

 日立GEニュークリア・エナジー(株)、(株)日立製作所及び協力会社の社員250名が出席されました。

 講演会の冒頭、日立GEニュークリア・エナジー(株) 取締役社長 羽生 正治様から、
 「今回の安全キャラバンは、再処理施設の耐震計算誤り問題を受け、日本原子力技術協会に臨時にお願いした次第である。
 今日は10月12日であるが、原子力配管焼鈍問題で当時の通産省から再発防止の指導を受けた日が10月13日であり、この日を忘れることのないように10月13日を「原子力基本と正道の日」と定めている。また、2001年の再処理施設でのプール水漏えい問題以降、コンプライアンス意識の再徹底と企業倫理の醸成等について色々な施策強化を図ってきたが、今回、再処理施設の耐震計算に誤りについて、10年以上も前の問題ではあるが、長年にわたって言い出せず現在に至ってしまったことは、安全文化の浸透・醸成、並びに職場の風通しの観点から猛省すべきと受け止めている。
 今年7月1日に日立GEニュークリア・エナジー(株)として発足し、(株)日立製作所原子力事業部の業務を引き継いだ。「和」「誠」「開拓者精神」という企業理念を設けて事業を展開してきたが、今回の事態を受け、改めて日立創業からの基本理念「基本と正道」に立ち返り、日常業務の見直し、グループ会社を含めた風通しの良い職場風土の醸成、そしてコンプライアンス活動を、さらに強力に推進したいと考えている。
本日は井上先生から御講演をいただき、また、意見交換を通じて闊達な意見、ご指導をいただき、今後の糧にさせていただきたい。」

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、関東学院大学人間環境学部 教授、財団法人 労働科学研究所 研究主幹  井上 枝一郎様から「ヒューマンファクターズと安全文化」 と題してご講演いただきました。


講演では、

関東学院大学人間環境学部 教授
財団法人 労働科学研究所 研究主幹
井上 枝一郎 様

 至近の1/4世紀を観ても、産業事故が激減していることは周知の事実である。しかしながら、現時点で、その低下曲線は横ばいの状況にある。この残存している事故の原因を具に検討した結果に拠れば、その大半がヒューマンエラーに起因しているという。これはつまり、ハード的な事故対策は一定の功を奏したものの、人的要因に関する対策は未だ十分な効果を挙げ得ていないという証左でもある。
 ではヒューマンエラー防止の対策がどのような変遷を辿ったかを検討してみよう。
 「ヒューマンエラーが事故原因である」という見解は、産業組織の管理者の念頭に牢固として存在し、事故対策立案の際にも一定のパラダイムとしての役割を果たしてきた。
 その結果、対策の筆頭は、「従業員の安全意識の高揚」や「安全教育の再実施」が常に採られてきたという歴史がある。しかしながら、冒頭でも述べたように、これらの対策が事故防止に十分な効果を発揮しないという現実は、今日ではもはや誰の目にも明らかな事実となっている。
 通底奏音としての「ヒューマンエラー原因説」を脇に置いて、原因論のパラダイム変換が起こったのは、何と言ってもチェルノブイリ原発の事故であったように思われる。IAEAによる報告書に盛り込まれた「安全文化」というタームは、「ヒューマンエラーは何らかの組織要因によって誘発される事象に過ぎない」という今日での常識(科学的事実)を我々の眼前に露わにしたという意味でその効果は計り知れない。つまりそれは、原因の所在を追求する上で、個人に焦点を当てるのではなく、当該組織体の安全管理体制にこそ目を向けるべきであるという慧眼であったわけである。「産業事故とは組織事故である」という思考の枠組みは、これからの事故防止策立案の際には忘れてはならない原理・原則だとしておきたい。
 とは言うものの、現状は如何かと問うならば、事故隠しや企業不祥事などが続発し、コンプライアンス、技術者倫理の確立などといった言葉を聞かない日は無いと言ってもよいほどの有様である。多分これは、先に述べた「安全文化」概念が思考のパラダイム変換には功を奏したものの、日常的・具体的な安全活動の手続きの次元にまでは、未だ至っていないからであろうと思われる。もちろん、一つの「文化の確立」が、そうそう短時間で果たし得ないものであることは当然である。現状を冷静に分析するならば、現時点は、いわば文化構築の胎動期であるとしておくのが妥当であろうか。
 かかる認識の下、今回の講演では、事故事例を基にヒューマンエラーの所在を探り、それらがいかなる組織的条件下で発現するものかについて話題を提供し、参加者の方々との議論に供する。

との貴重なお話をいただきました。

 

講演会終了後のアンケートでは、

●大変わかり易く又面白くお話ししていただいたので、有意義な時間を過ごすことが出来ました。講演の中では理解できましたが、実行するとなると、かなり難しい課題で、社会全体として、取組んでいかなければ解決できないと思いました。個人のモラルから取組むべき課題であると感じ、私自身改善していくことで、ヒューマンエラーを無くすべく努力をしていきたいと思います。
●大変興味深い講演、ありがとうございました。これからは表面だけの安全施策や対策でなく、人間の本質特性など深い部分に踏み込んだ活動を実施するよう、心がけていきたいと思います。
●人間はミスをする動物であるとの認識の下、対策を打っていく必要があるが、原子力の巨大性、社会への影響、マスコミの反応などを考えると、容易でないことを改めて感じています。前向きに一つ一つ積み上げていきたいと思います。
●非常に興味深いお話しで、再度よくレジメを見通して、自分の職場内で具体的にどの様な行動を取れるのか、検討していきたい。今後も日頃の(技術)分野とは全く異なる分野の情報を頂き、刺激を受け、見方(視点)の拡大、転換を図って、新たな対策に繋げたいと考えますので、異分野の情報をよろしくお願いします。
●ヒューマンエラーについて新しい見方、考え方を聞いたことが、大変有意義であった。また、技術者側論理だけで安全対策することは、NGであり、組織で共有できるもの、共有させることの重要性を再認識した。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

この後、日本原子力技術協会 鈴木専務理事から当協会の活動概要の紹介を行いました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 安全情報交換会では、安全情報交換会では、日立GEニュークリア・エナジー(株)殿からご要望があった職場の安全風土について、(株)原子力安全システム研究所の福井様、濱崎様にお出でいただき意見の交換を行いました。

 

以 上

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