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  平成 18 年 9 月 20 日(水)〜 21 日(木)にJR東日本総合研修センター(新白河)において、会員各事業所の設計部門などの間接部門も含めた 中堅管理者 を対象に第 11 回管理者セミナーを開催し、約 50 名の方に参加いただきました。
  今回のセミナーは、最近の原子力業界内外での事故・トラブル・不正問題などから学ぶ教訓、再発防止対策や、その根本原因と考えられるヒューマンファうクター、倫理、組織要因とその根底にある安全文化に関わるテーマとする講演を行い、また、受動的な講演だけではなく、体験型・参加型のセミナーとして参加者がより能動的に安全文化の習得・構築に役立てることとしました。

桑野 偕紀 氏

 

1. 平成 18 年 9 月 20 日(水)

講演:日本ヒューマンファクター研究所
    ヒューマンエラー研究室 室長 桑野 偕紀 氏


桑野先生から、「ヒューマンエラーについての一考察」と題して

1 . ヒューマンエラーとは

 ヒューマンエラーは、人間の本来持っている特性が環境や条件にうまく適合しなかった結果と考 えられるから、ヒューマンファクターの一部と見なすべきであろう。ヒューマンエラーを理解するには、ヒューマンファクターを理解しなければならない。

2 . ヒューマンエラーの再考

 ヒューマンエラーを考えるとき、認知心理学による分類が理解しやすい。ジェームス・リーズンの分類によれば、バイオレーション(違反)もヒューマンエラーに分類されている。しかし最近の日本の社会現象から見れば、「違反」は「意図をもった行動」の側に入れるべきであろう。

 逸脱というのは、例えば「手順書とは違う方法を工夫した」とか「時間がないので手順を省略した」といった行動である。リーズンの定義によれば「制限速度を 10 キロオーバーして運転した」といったものも逸脱に入る。そこに「事故を起こしてやろうという意図」は存在しない。

 一方「意図して行動」したものに「故意」がある。昨今日本で起こっている現象は、ちょうどこの「逸脱」と「故意」の中間あたりで安全を脅かしているように見える。わかっているリコールを隠す、安全基準のデータを捏造する、安全基準以下の設計をする・・・といった類の行為である。これらの行為は「殺人をしてやろう」という意図はないにしても、結果として人を殺してしまうことになりかねない。実際リコール隠しの結果自動車事故がおきて人がなくなるという事件が発生している。未必の故意を含めてこれらの行為をヒューマンエラーと考えるべきなのであろうか。

3 . 「安全」のヒューマンファクター

 もともとは故意に法違反をしてやろうと思っていたわけではないが、だんだんと法に定められた基準を逸脱していき、ついには大きな事故を発生する恐れのあるエラーをしているという人間行動を「遵法性麻痺」と名付けてみたい。遵法性という資性 ( あるいは姿勢 ) が、「これくらいは良いだろう」という感覚で逸脱が始まりついに麻痺してしまった状態である。

 そのような考えから、最近の日本で頻発している「隠す、捏造する、だます、偽造する」といった現象は、セーフティーを大きく脅かす問題ではあるが、セキュリティーの問題として対処すべきであろうと考えられる。

など、ご講演をいただきました。

 2.平成18年9月21日(木)

体験学習の様子(ダミー人形を使った救出訓練)

(1)体験学習
体験学習・施設説明:
ジェイアール東日本パーソネルサービス
  研修事業部 参与 関口 雅夫 氏

JR東日本総合研修センターの設備を利用した体験学習を実施しました。

(2) JR東日本総合研修センター「事故の歴史展示館」に学ぶ

ジェイアール東日本パーソネルサービス
研修事業部 参与 関口 雅夫 氏

JR東日本総合研修センターにある「事故の歴史 展示 館」見学しました。

 

セミナー終了後のアンケートでは

(1) 講演について

●今現場に於いて、ヒューマンエラーが改めて注目されている中、以前はルール、手順などを決めればエラーは無くなると言われたが、それでも減らない現状、今回の講演の中「エラーは防止できない」減少させる事で何をすれば良いのかそのキッカケを得た気がします。自分ではヒューマンエラーは解っていたつもりだったが、あくまでも“つもり”程度これからの取組みの際講師の言葉を念頭にヒューマンファクターを適切に見極める様努めたい。全体を通じ新鮮な気持ちで聞き入れられた事を感謝します。

●ヒューマンエラーについての分類が明確に説明され、自分自身の思考の整理に役立った。ヒューマンエラーの分類を基に、組織として誰にどのような責任があり、それに対してどの様な対策(施策)をしなければならないのか再考したい。

●ヒューマンファクター対策を検討する上で、人間の行動エラーをヒューマンエラーとバイオレーションエラーに区別された点は非常に判り易く、最近社会的問題となっている事件はコンプライアンス違反が要因となっているものばかりで、人間の倫理性が失われていっている社会に危惧するところがある。現場を管理する我々にとっては、それ以前のヒューマンエラー対策として何をすべきか、何を考えるべきか、という点で参考になった言葉が「自分を守る為の自然の行動が結果としてエラーとして現れているだけの事である。」従って、人間からエラーを無くすことは出来ないから減らす工夫、拡大させない工夫が大事である点、大変参考になりました。

(2) 体験学習について

● 実際の体験からしか得られない安全への対策が得られました。JR東日本殿の貴重な教訓に直に触れられ今後の職場へのフィードバックを何かしらの形にしたいと思います。

●今回の体験学習では、安全対策に関するシステムや安全行動の取組み(教育)等多くのことを学ぶことが出来た。業種は異なるが、安全への考え方は同じであり参考にすべき所が多くあった。

●安全確保のために重要なことは、まず自分自身の意識改革であることが、身を持って体験することにより理解出来たと思います。講師の熱意には見習うべき所が多くあると実感しました。安全確保の困難さを実感することが出来る非常に良い体験システムであると思いました。

など、多数のご意見をいただきました。  

 

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