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原子燃料工業株式会社にて第84回安全キャラバンを実施
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 平成18年7月5日、大阪府泉南郡熊取町にある原子燃料工業株式会社 熊取事業所において、第84回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 原子燃料工業株式会社 熊取事業所の社員49名が出席されました。
 講演会の冒頭、原子燃料工業株式会社 熊取事業所長 松本 晋介様から「この前、保安委員長から形骸化した保安品質活動を諫めるご発言をいただいた。われわれ内部だけの視点で取り組んでいると、形骸化、劣化してしまうことは避けられない。そこで、外部からの新しい安全研究の知見、NSネット事業部殿から紹介してもらう他社の良好事例等を、われわれの活動に取り入れ、刺激を与え、PDCAを回しながらスパイラルアップすることにより、形骸化が避けられると考えている。
 弊社は原技協殿に、ピアレビュー、安全キャラバン、安全風土調査を行っていただいている。前回のピアレビューは、2004年の1月に行っていただいており、改善事例が3件あった。その内の1つに、電力会社が進めている情報公開を積極的に行うようにということがあった。そして、その仕組みを作るよう提案があった。その提案を受けて、弊社も情報公開の必要性を感じ、燃料加工メーカ3社とともに、情報公開の準備を進め、ホームページにトラブル情報を含む運転状況を載せた。たまたま、保安院から情報公開はどうなっているのかとの問い合わせがあり、ちょうど改善事例を受け情報公開の準備を進めていたので、非常に上手く返答することができた。このようにピアレビューは現場で、自由活発に意見交換することができ、また、監査的な方法ではないということで、このような提案を受けることができたと考えている。
 本日の安全キャラバンの安全講演会、意見交換会を通じて新たな知見を得て、刺激を与えていただき、ますますの安全風土のレベルアップに努力して行きたいと考えている。ご指導のほどよろしくお願いしたい。」とのごあいさつを頂きました。
 ごあいさつの後、日本原子力技術協会から、日本原子力技術協会の活動方針やNSネット事業部の活動状況を紹介し、引き続き、(財)電力中央研究所 社会経済研究所 ヒューマンファクター研究センター 副センター長 吉村 誠一様から「ヒューマンファクターの理解と安全対策」と題してご講演頂きました。

講演では、

吉村 誠一 氏

 昨今、大きな事故やトラブルが目につくが、その背景には人的な要因(ヒューマンファクター)が大きく係わっている。プラントのような機械システムは、人との係わりなく動かすことはできない。その意味で、ヒューマンファクターは事故やトラブル防止の要と言っても過言ではない。

 では、ヒューマンファクターとは何か?これにはいろいろな学問レベルの定義があるが、分かり易く、「人間の行動に影響を及ぼす内外の要因」ととらえている。こう考えるとヒューマンエラー(基準からの逸脱)は人間の行動の結果、ヒューマンファクターはより上流側の諸々の要因ということになる。つまり、ヒューマンファクター分析というのは、結果(ヒューマンエラー:事故やトラブルのきっかけとなる行為)から、その原因(ヒューマンファクター)を見つける作業ということになる。このようにして明らかになった要因に対して対策(再発防止、未然防止)をとっていく。
 ヒューマンファクターは広い概念で、その一部としての人間の特性を理解することは大変重要である。これは、作業者自身が気をつけるべきことであると同時に、管理者も知らなければならない。なぜなら、作業管理(作業の時間帯、一人作業か二人作業か、作業指示など)のやり方も、安全を考えると人間の特性と密接に関連しているからである。また、チームで作業をすることは一般に一人作業よりも信頼性は高いが、時には、チームによる判断が良からぬ方向に向かう可能性(社会的同調)もある。これは、人間の持つ集団的・社会的な特性の一つであり、管理者のみならず経営者にも係わってくる事柄(例えば、経営判断)である。最近は、法令の遵守が重要な課題になりつつある。現場レベルに置き換えて考えると、規則違反(近道行動)ということになる。規則違反は「分かっちゃいるけど・・・」の世界で、人間の持つ、楽をしたいという本能的欲求の結果と考えることができる。従って、これを防ぐためには、無駄な規則、現場の実態にあわない規則を整理統合することも必要になってくる。
 このように、作業者、管理者、経営者それぞれのレベルでヒューマンファクターを理解し、職場の安全を実現していく必要がある。従来、ともすれば現場の作業員だけがヒューマンファクターを理解すればよいという風潮が見られたが、今回、管理層や経営層にもヒューマンファクターの重要性を理解してもらいたいという気持ちを込めて、「現場から経営層まで」という副題をつけた。特に、対策を考えると費用を伴うことから、管理者や経営者の役割は大きいと言える。また、会社の生産性ということを考えると、安全性をないがしろにすることはでない。
 生産性対安全性の空間における仮想的な組織の変遷を考えると(ジェームズ・リーズン、(塩見(監)・高野・佐相(訳)):組織事故、日科技連(1999))、平素、組織は、生産性を重視するために、安全性が低下し、事故にいたる。そうすると安全性重視に方向転換をするが、生産性はあまり向上しないため、やがて、再び生産性重視に舵を切り、再度事故にいたる。このようなプロセスを何度か繰り返していくという考えである。この考えに従うと、生産性をあげるためには安全性もあげなければならない。ここが重要なポイントである。
 本日ご出席いただいた作業員の方々には、ヒューマンファクターを正しく理解してほしい。自分の安全を守るのに役立つからである。また、管理層・経営層の方々は、その重要性を認識した上で、作業員が安全かつ快適に働ける職場環境の実現を目指してほしい。そうすることにより、ヒューマンファクターに起因する事故やトラブルは減少し、おのずと生産性も上がるはずである。このような認識が、今、最も必要なことなのかも知れない。 などの貴重なお話を頂きました。

講演会終了後のアンケートでは、

●ヒューマンファクターを個人の特質や性向の問題ととらえがちでした。これが、行動のステップや背景を分析することにより広範囲で深い問題になることが分かり易く示されました。この事を人に説明できるように、講演を思い出しながら理解してゆきたい。

●大変、良い講演でした。過去に受けたヒューマンエラーなどに関する類の講演では、どちらかというと理論的な切り口からの話が多かったのですが、このように実際の事象と理論がバランス良くかみ合ったお話をしていただくと、非常に分かり易く助かります。また、講演材料にも工夫が凝らされており、エビングハウスの忘却曲線以上に記憶に残ることは間違いありません。
●類似したテーマの教育を受けた中で最も考えさせられた内容であった。特に人間の生理的、心理的特徴を実際の事例に基づいており人間故の事故である事を確認出来た。職場の安全に対してこの内容を紹介し、事故につながるプロセス(ヒューマンエラー)を理解してもらおうと考えている。 先端技術の原子力は人間工学的にも先端であるべきことを認識した。

などのご意見がありました。

安全情報交換会

(1)取組み紹介と意見交換
 安全情報交換会では、日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター 安全管理部 安全対策課長 野村 紀男様においでいただき、大洗研究開発センターにおけるリスクアセスメントの取り組みについて詳しくご紹介頂きました。

野村 紀男 氏

 また、原子燃料工業株式会社 業務管理部 安全衛生担当課長 坂上 義満様より原子燃料工業(株)熊取事業所における安全確保の取り組みについて、また、業務管理部長 戸羽 豊様より「トップとの対話」を通じての安全文化醸成の取り組みについて紹介がありました。 紹介の後、上記の活動や取組みについて情報や意見の交換を行いました。

(2)その他
 NSネット事業部の有する原子力安全文化醸成に関するデータベースや情報などについてNSネット事業部より紹介しました。

以 上

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