安全講演会 |
安全講演会には、高砂製作所に勤務する社員 30 名が出席されました。
講演会の冒頭、 株式会社神戸製鋼所 プロジェクト本部 本部長 山本 敬蔵 氏 より、「この安全キャラバンの中で、安全風土の醸成というテーマで講演をいただくとことは、非常に我々にとって意味が大きいと考える。この機会を通じて会社全体のレベルアップを図っていきたいというのが、我々の強い意志である。」とのご挨拶がありました。
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安全講演会の様子 |
ご挨拶の後、成瀬NSネット事業部長より活動概要を紹介し、引き続き、(財)鉄道総合技術研究所 人間科学研究部 主任研究員 深澤 伸幸 氏より、「職場における安全風土の醸成に向けた個人行動と管理者行動の変容技法」と題して、ご講演いただきました。
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講演会では、
○ 企業にとっての安全とは、単に事故防止(労働安全)
を図ることではなく、「円滑な企業活動が営まれ、かつ
計画目標を達成できる状態」であり、この前提として
「企業活動を阻害する潜在的なリスク要因を探索し、
これを除去、あるいはコントロールできる範囲に留める
ことが条件」となる。企業が常に活動できるためには、
企業活動とリスク要因への対策という、難しいバランス
関係を判断することが重要であり、ここに企業トップが
下さなければならない経営判断が生じる」、という考え方
が紹介されました。企業にとっての安全とは、「安全即企
業利益」そのものであり、まさに経営のトップが最終的
に責任を負わねばらない、ということを述べています。
○ヒューマンエラーという用語の歴史的な背景を振りかえり、用語の定義と考え方を整理しました。次に、事故や労働災害を引き起こす原因をシステムと人間とに区分し、とくに人間側の原因とされる、ヒューマンエラーと組織過誤について述べられました。さらに行動分析用の列車運転シミュレータ実験から、ミスの連鎖が引き起こすエラー事例と、規則違反に基づく事例との、2つのタイプのヒューマンエラーの発生過程を分析し、エラーの特質についての話がありました。
○作業現場における安全風土醸成の試みとして、職場内のコミュニケーションを促進させることを通じて、職場の活性化を図るための職場活性化プログラムについての話がありました。このプログラムには「見るゲーム」と小集団討議という2つの手続きが含まれています。実施後の運転士並びに幹部の感想を調査した結果は「コミュニケーションを通じ、自分自身の行動特性へのふりかえりが生じた」、「興味深い方法で事故防止に効果があると感じた」との結果となり、このプログラムに対する受容度は高いものであったことが述べられました。
○最後に2つのお話がありました。一つは、経営トップが率先垂範して安全活動に取り組んだ事例で、そこでは労働災害が減少するばかりか、製品の欠損率の低下が見られ、むしろ生産効率の向上が見られ、安全とは単に事故を防止することではなく、生産活動を円滑にするという立場をとることが重要である、とのお話をいただきました。 もう一つは、経営層が陥りやすい点として、「リスク−コスト」との関係のお話がありました。初期の企業活動においては、僅かな費用でもリスク量は大幅に下がりますが、企業が成熟してくるにつれ、当面必要な打つべき手を打った時点では、費用に見合うほどのリスクの減少が見られなくなります。このため経営層は、安全対策への意欲が失われ、目先の利益に注目し、安全を軽視する傾向に陥りますので、この点を注意することが肝要である、と話を結んでいました。 |
講演会終了後のアンケートでは、
●ヒューマンエラーの考え方を改めて整理することにより、自発的に考える教育が必要であることを再認識した。またその方法論として、“見るゲーム”の教材を大変興味深いものと感じた。 |
●企業がいくら投資しても、安全に対するリスクはゼロにならない。しかし投資を止めれば事故は増大する話しはその通りだと思う。我々の機器・設備を設計・製作する者はする者としても、利益を最優先に考える傾向があるが、安全に対する配慮のバランスを忘れない様に、業務を遂行していきたい。 |
●大変興味深い内容だった。これまで最も重要であり最優先であるとは認識しながらも、その内容については漠としていた「安全」についてじっくり考える良い機会になった。事故や災害が起こること、対症療法的な対策が取られ、マニュアルばかりが厚くなるとおっしゃっていた点は、まさにその通りで、ヒューマンエラーは起きるものであるという前提での対策が実際的には有効なのであろう。今回の講演は、通常考えている観点とはいずれも少し異なっており、非常に新鮮で有意義であった。 |
などのご意見・ご感想をいただきました。 |
安全情報交換会 |
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安全情報講演会の様子 |
安全情報交換会では、叶_戸製鋼所よりご要望が
あった三井造船鰍ノおけるピアレビューで良好事
例として抽出された「『スキル一覧表』の作成によ
る技能の向上及び伝承」について、三井造船葛ハ野
事業所 機械工場生産計画部 産業機械外注グループ
主管 松中 信恭 氏においでいただき、詳しく紹介
頂きました。
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主な情報・意見交換として、
●技能伝承というのはどのように進められるのか。他に何か、効果的な取組みあれば教えて欲しい。
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○取組みでは、溶接であればOJTの形をとらざるを得ない。我々の会社の年齢構成も、全く同じような構成になっていて、問題意識を持っている。各溶接士が持っているノウハウ的なものを文書化して残
してデータベース化することをこれから進めているところである。
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●安全文化、企業風土をどのように構築するのかについて考え方をお聞きしたい。 |
○基本的に色々な問題はやはりコミュニケーションで、風通しのよい職場、楽しい職場が基本だと思う。最終的には工場のトップが決めるが、一旦、みんなで決めたものは、全員がそれに向かってやる工場にしていきたい。そういう風土・体質を持つ工場になれば指摘された問題は、絶対なくなるとは言えないが、発生頻度は少なくなると考えている。 |
などがありました。
以 上 |