最近は事故のオンパレードで、中でも、JR西日本の脱線事故は最近では最大級の事故であった。この事故の直接的な原因は運転手がスピードを出し過ぎてカーブを曲がりきれなったことだが、そうせざるを得ない過密ダイヤを組んでいた組織が最終的な責任を取るべきであると言われている。技術や組織も人が作り人が使うのであるから、突き詰めていくと事故原因は人にあるという人もいるが、大切なことはヒューマンエラーを起こしにくいシステムを組織として作りあげておくということだ。今回の相互評価に参加して北海道電力が安全確保のシステム作りに真摯に取り組んでいることがよく分かった。“失敗は成功の母”というが、しなくていい失敗はしないことが大切であり、過去に発生した他所での失敗を我がことのように実感して自分の業務に役立てることが水平展開である。人は自らの経験からたくさんのことを学ぶが、直接経験しないことからも多くを学ぶと言われている。 事故防止の行動計画は大丈夫か、小さなトラブルを見逃してはいないか、トラブルは起きていないがウィークポイントと考えられる所はないか、各階層のリーダーがリーダーシップを発揮しやすい体制になっているか、電力自由化へ
対処するためのコスト削減は適切に行われているか、普段のコミュニケーションは適切に行われているか、社員が元気の出る職場環境になっているか、原子炉に特有な問題にのみ集中していないか、などを個人レベルのみならず組織レベルで経営の分野も含めて自ら顧みることが大切ではないか。そのような契機を相互評価は与えているのでないかと感じた。
業務の内容をよく理解しているレビューアが、個人の判断で行われる業務から組織の判断で行われる業務まで綿密に調査し評価するこのシステムは、原子力発電の安全確保に、ひいては原子力産業の健全な発展に貢献するものと思う。
これを契機に発電所の安全に対する皆さんの意識が確認されて、原子力発電が益々社会に受け入れられるように努力されることを願っている。 |