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渡利 邦宏 氏 |
講演会では、
○安全というものは存在しない。存在するのは社会が許容する危険であり、それが許容の限度を超えた時事故となる。その許容レベルは曖昧で時間と共に変動し、また技術者と社会で異なる。
○ 安全を考える上で人間の情報処理の特徴を知る必要がある。人間は、入力情報の検知能力は高いが、中枢処理能力は低い上に単一情報処理系である。また、処理能力は意識水準により大きく異なり、適度の緊張がある場合がエラーの発生確率を極小化できる。しかしその状態は長続きしない。パイロットの場合、クリティカルイレブンミニッツというのがあって、離陸3分、着陸8分、合計 11分が最も集中を必要とする時間である。
○ 人間とは最初からエラーをしようとして行動するものではなく、エラーは人間の自然な行動の一部であるとの認識、前提でエラーの発生をできるだけ少なくする工夫が必要である
○ 連続事故の構図としては、まず成功の歴史があり、過去への過信、慢心、おごりが気づかないうちに芽を出す。その時事故が発生すると偶発と考え、問題意識を持たない。次に事故が起こるとミスは現場の問題であり、社内のメンツや保身により、まだ大丈夫との意識を持ち、社外へのメンツ、コストの観点などから消極的対策に終わる。この繰り返しで事故が再発していくと自分は関係ないとの意識をもち、社員意欲の低下が起こり、大事故へと進んでいく。従って以下が 重要である。
@過去の栄光・慢心・おごりを捨てる。
A失敗(ネガティブ)の経験を再発防止(ポジティブ)に生かす。
Bトラブルを他人事と考えない。
C上下の隔てなく、率直に意見が言える風土を築く。
D企業にとって、安全が最優先と考える。
とのお話をいただきました。
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