安全講演会 |
安全講演会には、北陸電力 (株)及び協力会社の社員約85名が出席されました。
講演会の冒頭、 北陸電力 (株) 志賀原子力発電所長 若宮 真自様より、「本日は志賀原子力発電所で安全キャラバンを開催いただきありがとうございます。 志賀原子力発電所では、昨年の美浜発電所事故を受けて、更なる安全文化の向上を図っているところであります。本日の吉田先生のご講演を傾聴し、ヒューマンエラーの防止に努め、安全文化向上を目指していきたいと思います。 また、午後には日立造船の良好事例であるTPM活動を紹介いただきます。この活動も、当所にとって重要な活動と考えております。今後の我々の業務の参考にしたいと思います。」とのご挨拶がありました。
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講演会の様子 |
ご挨拶の後、NSネット事務局長の町田よりNSネットの活動を紹介し、引き続き、 熊本大学 教育学部附属教育実践総合センター 教授 吉田 道雄 様より、「組織の安全管理と人間理解 −ヒューマン・エラーのグループ・ダイナミックス−」と題して、ご講演いただきました。
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吉田 道雄 氏 |
講演会では、
組織の安全管理と人間理解の観点から安全文化醸成に関し以下のご講演を頂きました。
○ 機器や設備の設計と運転は、 Fail-safeで、それを運用する人間はFeel-unsafeでいきたい。つまり「何かおかしい」と感じたら、それは「危険ではないか」と考える感受性が求められているのである。自分の思い過ごしや間違いなどといった判断はしない方がいい。
○ 安全に関する「知識」がなければ、安全を確保しようがない。しかし、「知識」があっても事故は起こる。そこに、「知識」を生かす「意識」が必要であり、さらに「意識」が「行動」になってはじめて安全が実現する。
○ 間違ったら謝ることに快感を覚えるような組織・環境が大事だ。こうした職場風土がなければ、ミスや事故につながるヒヤリハット体験も表に出てこない。
○ 組織を脅かす悪魔の法則が5つある。(「慣れ」、「経験の誤った一般化」、「記憶の加工・物語づくり」、「マニュアル違反でも事故らない」、「マニュアルを守っても事故る」。)
○ 個人の平和、幸せ、健康、安全 (PHS)が確保できてこそ組織のPHSが実現できる。モラルの崩壊の前にモラール(士気)の低下が現れる。モラールアップにはリーダシップの有無が大きく作用する。人的要因の基礎は対人関係とリーダシップである。
○ ヒューマンエラーをゼロにするには仕事をしないことである。それでは問題の解決にはならない。ヒューマンエラーによる重大な事故のリスクがあるということは、それだけ重要な仕事をしているという証でもあり、原子力発電所は、まさにそうした組織なのである。その意味で、みなさんは自信と誇りを持って仕事にあたっていただきたい。
とのお話をいただきました。
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講演会終了後のアンケートでは、
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情報の共有化、情報の活用の重要性を改めて感じた。職場でも報・連・相を忘れずに実践したい。今回の講演会で得た知識を十分に活用して安全に作業して行きたいと考えています。 |
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事故を起こした会社として今回の講演を興味深く拝聴しました。 やはり第一線で働く人からの情報の共有化が最も大事であるという考え方は同感です。現場の声がトップの耳に入るようになれば少なくても事故は減ると考えます。身近に感じるテーマであり、とても参考になる講演でした。 |
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人は起こってしまったことがらだけで判断して「どうしてそんな大事なことを今まで気づかずに居たのか」と思うものだが、事故が起きる前は多くの事象の中に埋もれてしまっているものなのである。安全確保のためには、埋もれている危険の芽を掘り起こし、それを一つ一つ潰していくことなのだが、組織の中の関係者が一人一人自覚し、その結果で常に PDCA を廻していくことが大切なのだと、今回のご講演を聞いて感じました。 |
などのご意見をいただきました。 |
安全情報交換会 |
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安全情報交換会の様子 |

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柳川 肇 氏 |
安全情報交換会では、北陸電力 (株)よりご要望があった日立造船(株)有明機械工場(日立造船ディーゼル&エンジニアリング梶jにおける相互評価で良好事例として抽出された「 TPM活動による積極的な改善活動の実施 」について、日立造船ディーゼル &エンジニアリング TPM推進室長 柳川 肇 氏においでいただき、より詳しく紹介頂きました。 (TPM : Total Productive Maintenance の略)
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主な情報・意見交換として、
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社員への啓蒙活動はどのような事をされていますか。 |
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社内で行う業務改善提案の発表会を1回/2ヶ月、他業種を含めた九州地区での発表会を2回/年の割合で行っている。また、2回/年の割合で各サークルから社長へ活動内容を説明している。 |
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社員の士気に変化は有りましたか。 |
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パートT活動では職場を綺麗にすることから始まったので、はじめは不満が多かったが、活動を通して、「工場が綺麗になった」「機器の故障、油漏れが無くなった」等、目に見える改善ができたことで社員の士気は高まったかと思う。 |
最後に吉田講師より以下のご意見を頂きました。
「 TPM活動も小集団活動と考えて良いかと思うが、小集団活動が従来業務に+αだと受け止められると上手くいかない。忙しい業務に新たな仕事が増えるというイメージでは意欲は阻害される。図式的にいえば、「仕事+α」の受け止め方は、二つの歯車が噛み合わず、空回りしている状態だ。そうではなくて、大きな歯車(従来業務)の中に小さな歯車(小集団活動)があり、小さな歯車が動けば大きな歯車もスムーズに動いていることが大切だ。TPM活動を実施することで仕事の安全や効率が高まるという意識が必要と考える。」
などがありました。
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以 上
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