1.対象事業所 (所在地) |
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株式会社東芝 電力・社会システム社 京浜事業所
(神奈川県横浜市鶴見区) |
2.事業所の概要 |
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株式会社東芝は、明治8年(1875年)の創業以来、数多くの優れた技術と高い品質の商品・サービスを創出し、時代の変化に迅速に対応した積極的な事業運営をすすめることで、わが国を代表する電機メーカーとして成長してきた。
原子力分野に関しては、昭和30年代初頭から研究開発を始め、その後、米国ジェネラルエレクトリック社の技術を導入して、沸騰水型原子炉(BWR)の設計製造建設を実施しており、現在までに国内に21基の建設を行った。現在は更に2基を建設中である。建設した21基のうち2基と現在建設中の2基うち1基は、東芝の建設経験と、世界の優れたBWR実証技術を発展・結集し、安全性・信頼性の向上、運転性・操作性の向上、経済性の向上、放射線量・放射性廃棄物発生量の低減等を図った改良型沸騰水型原子炉(ABWR)である。
京浜事業所の原子力部門である原子炉機器部においては、この沸騰水型原子炉を一貫した組織のもとで設計から製造を行うとともに、高速増殖炉・高温ガス炉・再処理施設の各機器の開発・製作等を行っている。
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3.レビューチームの構成及びレビューの方法 |
Aグループ: |
四国電力(株)、日本原燃(株)
(レビュー分野 : 組織・運営、教育・訓練、重要課題対応) |
Bグループ: |
核燃料サイクル開発機構、NSネット
(レビュー分野 : 設計・製造、重要課題対応)
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レビュー方法:上記分野について、現場観察、関係者との面談および書類確認 |

鞄月ナ京浜事業所本工場全景 |

レビュー状況 |
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4.レビュー結果 |
(1)主な結論 |
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今回の株式会社東芝京浜事業所に対するレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で、直ちに改善を施さなければ重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。 |
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京浜事業所は、昨今の原子力事業をとりまく環境の変化のなかにあって、「京浜ものづくり元気プラン」を事業所大で展開し、経営変革活動として「MI活動」(Management Innovation)、小集団活動として「SGPサークル活動」(Small Group Project)を実施し、技術・技能の継承と発展、個人の育成・力量のアップ、作業マニュアルの充実、コミュニケーション強化が推進されており、これらの活動はトップ自らが率先垂範して取り組んでいる。 |
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また、原子炉機器の設計・製造にあたっては、総合生産システムを始めとするIT技術を十分に活用した設計、製造技術、試験検査、製造進捗等に関する情報システム群が構築され、従業員がこれを有効に使用することにより、業務の正確さと迅速さに貢献している。 |
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今後、京浜事業所は、現状に満足することなく、なお一層の安全文化の向上を目指して更なる自主努力を継続していくことが望まれる。 |
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(2)良好事例及び改善提案 |
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今回のレビューにおいて、NSネットの他の会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべきいくつかの良好事例を見出した。一方、京浜事業所における安全文化の更なる向上に役立つものとしていくつかの提案を行った。
良好事例*1と改善提案*2の一覧は次のとおり。 |
○良好事例 |
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レビュー分野 |
良好事例の概要 |
組織・運営 |
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フレキシブルな配員による適正な要員の確保 |
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京浜事業所長による顔の見える直接対話活動 |
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「e−ラーニング教育」によるモラル向上に係る教育のフォロー |
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教育・訓練 |
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現場掲示板に優良技能者の氏名の掲載 |
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「京浜ものづくり元気プラン」活動の実施 |
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設計・製造 |
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設計者全員が参加する全体連絡会によるコミュニケーション向上 |
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MI活動によるコミュニケーション向上 |
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工作部門における多能工化への取り組み |
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電子化された「移動票」の活用による製造工程管理の最適化 |
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重要課題対応 |
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注)太字は、主な結論に記載した項目。 |
○改善提案 |
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レビュー分野 |
改善提案の概要 |
設計・製造 |
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「設計審査」や「DR会議」に参画する専門技術者の人選に専門技術者リストを活用することの明文化 |
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重要課題対応 |
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注)太字は、主な結論に記載した項目。 |
5.相互評価報告書 |
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相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
●相互評価報告書本文(PDF形式: 155KByte)
●参考図 |
以 上 |
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*1 良好事例 |
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当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。 |
*2 改善提案 |
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原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるための提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。 |
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