2004年 3月18日
N S ネ ッ ト
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2004年1月27日(火)から1月30日(金)までの4日間にわたり、原子燃料工業(株)熊取事業所に対して相互評価(ピアレビュー)を実施しました。その概要は以下の通りです。
1.対象事業所(所在地)
原子燃料工業(株) 熊取事業所 (大阪府泉南郡熊取町) |
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2.事業所の概要
原子燃料工業株式会社は、原子燃料メーカーとして、多年にわたって開発された自社技術に海外から導入した技術を活かして、わが国の原子力事情に合致した高品質の軽水型原子力発電炉(PWR・BWR)用燃料の開発・設計・製造を行うとともに、新型炉用、各種研究炉用・試験炉用燃料、燃料関連装置等の設計、製造から原子炉炉心管理サービスに至るまで、幅広く事業を展開しており、総合原子燃料メーカーとしてわが国の原子力開発推進の一翼を担っている。
熊取事業所においては、主として酸化ウラン粉末を原料としてPWR型軽水炉燃料の加工を行うほか、燃料関連装置の設計・製造、燃料関連技術サービス、電子線照射による滅菌・材料加工サービスを行っている。
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3.レビューチームの構成およびレビューの方法
Aグループ
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:中部電力(株)、日立造船ディーゼルアンドエンジニアリング(株)
(レビュー分野 : 組織・運営、教育・訓練) |
Bグループ
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:東北電力(株)、富士電機システムズ(株)
(レビュー分野 : 運転・保守、放射線防護) |
Cグループ
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:(財)電力中央研究所、NSネット事務局
(レビュー分野 : 緊急時対応、重大事故防止) |
レビュー方法 |
:上記分野について、現場観察、関係者との面談および書類確認 |
原子燃料工業(株) 熊取事業所
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レビュー状況
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4.レビュー結果
(1)主な結論 |
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今回の原子燃料工業(株)熊取事業所に対するレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で、直ちに改善を施さなければ重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。 |
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熊取事業所では、経営理念の「原子力産業の発展に寄与することを通じて社会に貢献する」等を受け「環境保全と安全第一の行動」等の指針が明確に示されている。また安全確保の組織的な維持改善活動に向けて、労働安全衛生マネジメントシステムの構築が、「労働安全衛生方針」の中で宣言されている。このような全社的な安全重視の方針の下で、事業所長をはじめ全所員が安全確保に真摯かつ真剣に取組んでいる。 |
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また、技術者のモラル向上については、倫理教育を年1回の頻度で管理職、スタッフを対象に外部講師を招聘し計画的に実施している。さらに地元地域等との信頼関係の醸成のために、一般に公開しての共同防災訓練や、事業所一般公開見学会の開催、PA見学の受入等、さまざまな角度からの活動に積極的に取組んでいる。 |
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今後、熊取事業所は、現状に満足することなく、なお一層の安全文化の向上を目指して更なる自主努力を継続していくことが望まれる。 |
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(2)良好事例及び改善提案 |
今回のレビューにおいて、NSネットの他の会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべきいくつかの良好事例を見出した。一方、 熊取事業所における安全文化の更なる向上に役立つものとしていくつかの提案を行った。
良好事例*1と改善提案*2 の一覧は次のとおり。 |
○「良好事例」
レビュー分野 |
良好事例の概要 |
組織・運営 |
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「21教育委員会」による自発的・積極的な安全文化の醸成 |
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労働安全衛生マネジメントシステムに沿った各種の安全衛生活動のマンネリ化防止 |
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リスクアセスメント活動の推進 |
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品質監査員の資格のきめ細かなクラス分け |
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教育・訓練 |
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運転・保守 |
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重大事故防止 |
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JCO事故を踏まえた臨界安全対策の強化と地元への説明 |
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工程設備のより確実な臨界管理方法への取り組み |
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地震時におけるチェックマニュアルの作成 |
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安全関連の計量器、メーター類の確実な点検管理システム |
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確認し易い消火器位置の表示や避難経路の表示 |
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注) 太字は、主な結論に記載した項目
○「改善提案」
レビュー分野
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改善提案の概要
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組織・運営 |
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「21教育委員会」の活動の存続 (活動成果のフォローのため) |
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ホームページ等を活用した積極的な情報公開 |
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電子公開システムを活用した合理的文書配布 |
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緊急時対策 |
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運転・保守 |
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保安活動への品質保証導入の法制化に伴う業務標準等の改訂促進 |
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重大事故防止 |
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一時立ち入り者への緊急時対応教育の改善 |
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フード内における火災時の対応方法の検討 |
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注) 太字は、主な結論に記載した項目
5.相互評価報告書
相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
●相互評価報告書本文(PDF形式:207KByte)
●参考図
以 上
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*1 良好事例
当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。
*2 改善提案
原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるための提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。 |
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