安全講演会(10月23日)
(三菱原子燃料(株)とニュークリア・デベロップメント(株)の合同開催)
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安全講演会には、三菱原子燃料(株)、ニュークリア・デベロップメント(株)および協力企業の社員約60名が出席されました。
講演会の冒頭、三菱原子燃料(株)副社長の針山 日出夫氏より、「菱山先生より貴重なお話を伺う他、良好事例の事例交換、意見交換等を通じて、安全について足元からもう一度考え直し、原子力事業に携わる一人一人の人間としてどういう風に行動していくべきか、そのあたりをもう一回きちんと見直して、安全を誓いあう日にしたいと思います。」とのご挨拶があり、引き続き、ニュークリア・デベロップメント(株)社長の濱田 紘司 氏より、「JCOの臨界事故は決して忘れそうに無いのですが、だんだんうすれていきます。これではいけないなという思いを日々しております。全社員に対して、倫理教育をしておりますが、幹部が全社員と親しく近づいて、コミュニケーションを取って、悩みをいろいろ聞いたり、いろんなことを語り合って、いつもいい関係を全社員と保っていくということが、安全、倫理の基本だと認識して、日ごろ努めているところですが、なかなか、十分なことができておりません。今日先生から企業倫理のお話を伺い、教育資料の一部に織り込ませていただきたいと、大変楽しみにしております」とのご挨拶がありました。
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講演会の様子
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ご挨拶の後、NSネット町田事務局長代理よりNSネットの活動を紹介し、引き続き、企業行動研究センター所長の菱山 隆二氏より、「いま問われる企業倫理 -企業行動の基盤の見直し-」と題して、ご講演いただきました。
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菱山 隆二氏
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講演では、
●失敗事例がありながら、なぜそれを学ばないのか。
●広く高い見地で全体を見ることをお願いしたい。部分的な判断だけで一番良いと思っても、全体から見たら最悪の結果になるということが良くある。
●不祥事は隠せないということを認識する必要がある。
●役員が「自分がいかに企業倫理に関心を払っているか」ということを示す時代になっている。プロフェッショナルの倫理。
●コミュニケーションはキーワード。縦横の風通し、管理職・役員がマイナス情報にも耳を傾ける。直接対話が必要。
●技術というのは、人類社会の幸福に対しての両刃の剣である。技術者の価値観、説明責任、社会的責任で取り組む必要がある。
などのお話を頂きました。
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講演会終了後のアンケートでは、
●最近の風潮は不正事が起こるとコンプライアンス(法令遵守)の欠如に焦点が当る傾向があるが、講演で"法令遵守"ばかりでない"価値基準"も必要であり、この2つは車の両輪であるとの御指摘には共感を覚えました。価値基準として「のびのびと自分の判断で行動ができる環境とは」につき再点検してみたいと思います。
●企業倫理についての現状について、事例を交えての御講演はたいへん参考となった。今、企業会計については、グローバルスタンダードということで、日本企業は対応に追われている。企業倫理についても日本国内に対してでなく、海外から見ても理解され得る対応、処置が要求されはじめているとの認識が持てた。
●企業の倫理観がどうあるべきか、大変勉強になりました。現場で働く人間として、今回の企業倫理の講演内容を聞き、あらためて技術者倫理について勉強する必要があると感じました。
などのご意見をいただきました。 |
安全情報交換会
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1.三菱原子燃料(株)での安全情報交換会(10月23日) |
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安全情報交換会の様子
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神 徹氏 渕野 悟志氏
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安全情報交換会では、 三菱原子燃料 (株)より要望があった日本原燃(株)濃縮・埋設事業所における相互評価で良好事例として抽出された「体系立てて整備された臨界安全管理方法とその確実な運用」について、日本原燃(株)濃縮事業部施設部施設計画課 副長 渕野 悟志氏及びウラン濃縮工場濃縮運転部保修課 神 徹氏においでいただき、より詳しく紹介頂きました。
主な情報・意見交換として、
●濃縮度管理の運転条件設定の際に、ダブルチェックで入力設定作業を行うとあるが、どのような方が行うのか。
○入力作業担当者と班長がチェックする。
●シリンダー等を使用しウランを搬送、貯留しているが、小さな台車等でウランを搬送することはあるのか。
○シリンダーは機械式の大型搬送台車で運搬しているが、小さな台車で運搬する作業はサンプルのみ。また、シリンダーは接触しても臨界にはならないことを解析で確認している。
などがありました。
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2.ニュークリア・デベロップメント(株)での安全情報交換会(10月24日) |
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安全情報交換会の様子
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若島 喜和 氏
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安全情報交換会では、ニュークリア・デベロップメント(株)より要望があった日本核燃料開発(株)における相互評価で良好事例として抽出された「新試験実施に係る安全性の審議・検討・フォローアップ体制の確立」について、日本核燃料開発(株)管理部長 若島 喜和氏においでいただき、より詳しく紹介頂きました。
主な情報・意見交換として、
●品質保証計画書の中に、保安活動事項である「放射線管理及び安全管理」が含まれているが、今回の法律改定に伴い、保安活動に対する品質保証が規制側から要求されるため、当社も品質保証の中に保安活動を取り込まなければならないが、アドバイス等があれば教えて下さい。
○当社では保安活動を品質システムに組み込んで運用している。 第一に法律が上位にあり、法律上の要件を満たすことが最優先されるのは言うまでもない。運用の仕方としては、「放射線安全委員会」を設けており、放射線安全管理の規則、規定に関する事項を主に審議している。その他の特に技術的内容を含む事項については品質システムの構成要素であり、 資料準備からフォローアップまでの効率的な仕組みが出来上がっているデザインレビュー会議で議論することが多い。
●許認可関係は申請から許可まで時間がかかると思うが、その際のデザインレビュー会議は何回かに分けて実施されるのか。
○必要に応じ、何回かに分ける。初めに申請時にデザインレビュー会議を実施し、技術的に問題があればその内容につきデザインレビュー会議を実施する。
などがありました。
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以 上
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