|
NSネットでは、第33回の相互評価(ピアレビュー)を住友原子力工業(株)において実施しました。その概要は下記の通りです。
1.対象事業所(所在地)
|
2.実施日 |
2003年7月23日〜24日 |
|
3.事業所の概要及びレビュー対象
今回のレビューの対象事業所である住友原子力工業(株)は、1959年に住友系企業の共同研究開発会社として設立され、1967年から1968年にかけては、同社の研究開発で得られた成果から放射線利用と核燃料加工の2部門が住友系企業数社で本格的に事業化されている。
現在では、住友系企業の支援を受けながら、原子力関連分野のエンジニアリング会社として高度な専門知識と豊富な経験を生かし、原子力に関連する調査分析、解析計算サービス(臨界解析、遮へい解析、安全解析等の核設計)、ソフトウェア設計開発に関する事業を展開している。
本レビューでは、同社におけるに核設計、ソフトウェア設計開発等の業務に係る安全文化推進活動を対象とした。
|
|
4.レビューチームの構成およびレビューの方法
Aグループ
|
:北海道電力(株)、石川島播磨重工業(株)
(レビュー分野:組織・運営、重要課題対応) |
Bグループ
|
:日本原子力研究所、NSネット事務局
(レビュー分野:教育・訓練、設計管理、重要課題対応) |
レビュー方法 |
:上記分野に対し、関係者との面談および書類確認を実施 |
オープニング状況
|

レビュー状況(副社長面談)
|
|
5.レビュー結果
(1)主な結論 |
- 今回の同社に対するレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で直ちに改善措置を施さなければならないような事項は見出されなかった。
- 同社では、少人数であるが故の特色を生かし、トップからのメッセージの発信等を正確に情報伝達が行えるような開かれた職場環境となっており、全社員一丸となって安全文化の醸成に取り組んでいることが確認された。
- また、住友原子力協会の事務局となり、住友グループの原子力事業に関連する企業への原子力安全に関する情報、資料、意見等を「住友原子力協会報」として発行する等、その中核的な役割を担っている。
- 企業倫理等については、「行動規範」、「安全方針」をカード化して全社員に配布するとともに、社員全員が参加する毎月初めの「朝会」での活発な議論を通じて浸透を図っていることが確認された。
- また、品質保証に関しては、ISO9001(2000年版)に準拠した品質マニュアルを構築中であることを確認した。
- 同社は、現状に満足することなく、なお一層の安全文化の向上を目指して更なる自主努力を継続していくことが望まれる。
|
(2)良好事例及び改善提案 |
今回のレビューにおいて、NSネットの他会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべき良好事例を見出した。一方、同社の安全文化をさらに向上させるため、幾つかの改善提案を行った。
良好事例*1と改善提案*2 の一覧は次のとおり。 |
○「良好事例」
レビュー分野
|
良好事例の概要
|
組織・運営 |
・正確な情報伝達が行える開かれた職場環境
・行動規範や安全方針を記載したカード保持等による安全文化の周知徹底
・「住友原子力協会報」の発行による安全情報の住友グループ各社への発信 |
教育・訓練 |
・JCO臨界事故事例解析教育による新入社員の技術向上と原子力安全への意識向上 |
設計管理 |
・ベンチマーク解析 による設計検証用データベースの構築 |
重要課題対応 |
・解析・評価作業におけるチェックリスト活用によるヒューマンエラー防止への取り組み。 |
○「改善提案」
レビュー分野
|
|
組織・運営 |
・特になし |
教育・訓練 |
・専門家リストの掲示による社内外に対する専門家の明示と知識向上意欲の啓発 |
設計管理 |
・設計マニュアル類の管理の明文化による管理の徹底 |
重要課題対応 |
・協力会社との安全文化共有のための「住友原子力協会報」の活用
・現在構築中の品質保証体系の施行・運用
・ヒューマンエラー事例のデータベース化とその活用によるヒューマンエラー防止活動の向上 |
6.相互評価報告書
相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
●相互評価報告書本文(PDF形式:90KByte)
●参考図
以 上
|
*1 良好事例
当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。
*2 改善提案
原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるための提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。
*3 ベンチマーク解析
設計手法に用いられるデータや計算手法の計算精度及び信頼性を検証することとを目的として実施された、条件や測定精度の明確な実験結果をモデル化した問題をベンチマーク問題と呼ぶ。当該手法を適用して、このベンチマーク問題を計算し、測定値と比較することにより、当該手法の精度並びに結果の再現性を確認する一連の評価作業をベンチマーク解析と呼ぶ。 |
|