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2003年8月11日

第32回相互評価(ピアレビュー)に参加頂いた
第三者オブザーバーのご意見・ご感想について

 2003年6月17日から19日の間、(株)神戸製鋼所高砂機器工場(兵庫県高砂市)に対して実施した第32回ピアレビューにおいて、NSネットの会員外からプロセスマネージメント研究所代表で岡山大学名誉教授である佐山隼敏氏に2日間(17日及び18日)にわたりオブザーバー参加頂きました。その際のご意見・ご感想が以下の通り取りまとめられましたので、ご紹介致します。

1.はじめに
  私は、大学卒業後3年間の会社勤務を経て、その後は大学にいたのだが、昭和49年に重油流出事故が起こってからは水島でコンビナートでの安全に取り組んでいる。以来30年間で約100件ほどいろいろな事故が起こっており、原因を調べてみると一つ共通項がある。"設備の不調"という言葉である。要するに故障して危ないところを無理して運転していたことが非常に多い。結局、設備管理が一番大きな原因だ。従って、"事故をなくす"のではなくて、"故障やトラブルをなくす"のが早いと思い、それ以来ずっと信頼性工学、保全、設備管理と安全管理に取り組んできている。その専門の立場から意見を述べさせて頂く。
 また、今回のピアレビューへのオブザーバー参加は大変勉強になったし、皆さんも思い切ってよく見せて頂き感謝したい。

2.ピアレビューについて

 ピアレビューの資料が非常に生々しいので驚いた。"よくまあここまで出したな"と思った。ホスト(被評価組織)とレビューアがこういった生のデータに基づいて、お互いに意見交換するのは大変良いと思う。そういった意味でピアレビューは大変いい制度だと思った。
 また、原子力産業の中で見るのか、広く機械工業全体で見るのか、だいぶ意見が違ってくると思うが、私は、機械工業という広い立場からいろいろとお互いにレビューした方が役に立つと思う。
 レビューアの仕事は大変と思う。慣れればいいかも分からないが、相当な負担がかかっていると思う。しかし、レビューアにはいい勉強になるであろうし、そういったものをきちんとこなしてやって頂ければこれは非常にいいことであるので、是非続けてやって頂きたい。
 また、例えば高圧ガス保安協会では、認定の作業はどちらかというと企業の人は行きにくいため、全部大学の人間が行っている。やはりそういう意味では、レビューアも企業の方、あるいは学校の方とかいろいろな構成をするのも手かもしれない。

 

3.設備管理
 ISOの9001の品質管理は非常にいいが、設備管理はさておき、品質を良くしようという発想が非常に強い。本当は設備管理が"発生源"なのだ。設備がガタガタするから非定常になるし、非定常になれば手を出して怪我をする。設備のトラブルが起こると、後追いになり、事後保全になる。なかなか予防保全ができない。予防保全をやっていないので、余計故障が発生して余計悪くなる。そうすると工場も安定しないし、作業も増えるし、品質も問題が起こる。

4.目で見る/見える安全管理と教育
 パトロールをたくさんやってもダメだ。現場の人は"またか"と思い、対応がマンネリ化してくる。特に、管理職の方が現場に行かれるのはいいが、やはり必要なのは、本当に"発生源"が見つかっているのかである。例えば、故障に伴う安全の問題というのは故障を減らさないと"発生源"も減らない。いろいろな問題を目で見えるようにすることである。ビデオ化、デジカメ化、そういったものに落としていくと楽である。
 クレーン作業、加工等いくつかのモデル職場を決めて、そこでビデオを撮ってすべての作業を出して、その改善の進め方を検討する。このようなことをうまくやれば全社展開もでき成果も見える。ビデオを撮ってそれを皆で見てそれを改善するということをやらないと自分のやっていることが分からない。更に、昨今若年者の教育が不足しているのでこれも徹底的にビデオを使うことを薦める。
 現場の人に対して技能教育もいいが、同時に自分のできる改善する力を教育する、それを教えないといけない。だから、"ヒヤリハットを出せ!"だけではいけない。"ヒヤリハットはこんなところに目をつけて、こういう風に出せ!"という教育をしなければいけない。ただ漠然と見るのではなく、"尖っているところを探せ!"や"挟まれるところを探せ!"といったキーワードでヒヤリハットを出させる。また、例えばクレーンでモデル設備を作って、それを皆でビデオを見てヒヤリハットを出させることだ。
 目で見えて、もっと楽に、もっと早く、もっと安全にできる工夫をいろいろ考えて頂きたい。

5.終わりに
 2日間見せて頂いたが、神戸製鋼所の持っている固有技術については非常に高いレベルにあると思う。言うなれば日本の技術の一番のベースになるところで、しっかりとやっておられる。また、そういった意味での技術の伝承や継承についても非常にレベルが高い。
 全体として皆さんが非常に頑張っているのは認めるが、その一方で管理職の方があまりやり過ぎると会社も大変なので、現場の力をうまく引っ張り出すというようなところも是非お願いしたい。

 

6.オブザーバー:佐山 隼敏 氏(プロフィールは別紙参照)

(1) 参加ピアレビュー(レビュー対象)
    第32回ピアレビュー((株)神戸製鋼所 高砂機器工場)

(2) 参加スケジュール
    2003年6月17日から6月19日のレビュー期間中の内、6月17、18日の二日間
                                                           

以上


書類確認状況の観察(中央)

現場確認状況の観察(手前中央)

 


 

(別紙)

佐山 隼敏 氏 プロフィール

・ご 職 業:プロセスマネージメント研究所 代表

 

・主なご経歴:  

  1958年   京都大学工学部化学機械学科 卒業

  1958〜61年 関西電力株式会社 原子力部勤務

  1961〜65年 京都大学工学部助手

  1965年   岡山大学工学部助教授(生産機械工学科 装置設計制御講座)

  1968年   工学博士

  1971年   岡山大学工学部教授

  1973〜74年 米国カンザス州立大学 客員研究員

  1975〜97年 岡山県コンビナート防災本部専門員

  1981年   TPM優秀賞審査委員

  1997年    岡山大学退官

 

  現在    岡山大学名誉教授

         プロセスマネージメント研究所 代表

 

・主な著書等:

  「プラントシステム(日刊工業新聞社 1972年)

  化学プラントの安全対策等(丸善 1977年)

  FTA安全工学(日刊工業新聞社 1978年)

  メンテナンス便覧(JIPM 1992年)

  TPM設備管理用語辞典(JIPM 1994年)

  現場が納得する工場少人化の進め方(監修、JIPM 1996年)

  続 工場少人化の進め方(監修、JIPM 1999年)

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