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NHKスペシャル「原発解体~世界の現場は警告する~」報道について関連する活動内容

一般社団法人
日本原子力技術協会

平成21年10月11日に放映されたNHKスペシャル「原発解体~世界の現場は警告する~」の内容に対する当協会の意見は、以下のとおりです。

今回の報道は、多くの成功例や背景に触れずにいくつかの失敗例で結論に導くような報道となっており、「木を見て森を見ず」の報道姿勢に疑問を持たざるをえません。気付いた点は枚挙に暇がありませんが、技術的視点からの例を示せば以下のとおりです。

番組では解体技術の困難性を強調する内容になっているが、解体技術は、今や適切に技術を組み合わせ、いかに合理的に実施するかというシステムエンジニアリングの段階である。エンジニアリング上での不具合と技術の成立性とは分けて認識すべきである。制作者は海外における解体実績(アメリカ:フォートセントブレイン他、ドイツ:グンドレミンゲン他)や国内における動力試験炉JPDRの解体実績を紹介していないが、どのように評価したのだろうか。

放射性廃棄物については、「解体に伴い原発から出る大量の放射性廃棄物が問題である」としているが、110万キロワット級の軽水炉型原子力発電所の試算では、解体全体から発生する量の約3%程度であり、大部分は放射性廃棄物として扱う必要がない物や汚染履歴等のない廃棄物であることの説明もあわせて必要ではないか。

処分場についても、ドイツの例をもって処分が技術的に極めて困難な印象を与えているが、処分場の建設に当たっては、技術的な問題と民主的なプロセスの問題を分けて考えるべきである。ドイツで解体されたグンドレミンゲン発電所から発生した廃棄物は、ドイツ国内のモルスレーベン処分場にて処分されている。
また、処分場については、「全ての廃棄物を埋められる処分場はひとつもない」と紹介しているが、これではどこの国にも処分場が無いと受けとめられかねない。高レベル廃棄物については、各国とも操業に入った処分場はないが、その他のレベルの廃棄物については、操業されている処分場は数多くある。

今後、科学的な番組を制作する際には、事実に基づく客観的な立場での制作に努めて頂きたい。