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蒸気発生器管台溶接部の傷の状況(平成20年6月改訂版)関連する活動内容

平成19年9月、定期検査中の美浜2号機において、また同年10月、定期検査中の敦賀2号機において、蒸気発生器(SG)の1次側入口管台の溶接部(600系ニッケル基合金)の内面の健全性を確認するための渦流探傷試験(ECT)を実施した。その結果、有意な指示信号が複数確認された。

このため、超音波探傷試験(UT)を実施したところ、それぞれで最大深さ13mmの傷が確認された。この2事象を受けて、原子力安全・保安院は、平成19年10月18日、加圧水型原子炉(PWR)の事業者に、き裂が確認された600系ニッケル基合金を使用しているSG出入口管台溶接部の漏えいの監視強化を指示した。また、同年11月16日、至近の定期検査中にSG出入口管台溶接部内表面の点検を実施するよう指示した。なお、発見された傷はいずれも軸方向であることと600系ニッケル基合金は延性の高い材料であることから、仮に傷が進展して微小リークが発生する状態となっても直ちに配管が損壊することはないと評価されている*。

PWR事業者は計画的に点検を実施している。SG管台の溶接材料として600系ニッケル基合金を使用している1次側入口管台の点検状況は、現在(平成20年6月17日)、以下のとおりである。これまでに判明している原因は、応力腐食割れの感受性がある600系ニッケル基合金に溶接時の引張り残留応力が存在していたことによる1次冷却材環境下の応力腐食割れ(PWSCC)である。なお、これまでSG出口管台溶接部に傷は確認されていない。

事業者名 発電所名** 号機 SG ECT 結果 UT 結果**** 原因 点検予定* 詳細情報
北海道
電力
2 基 今後 今後 今後 2008.8~ 今後
A 3箇所 最大長さ約13mm、深さ約7mm PWSCC NUCIA 通番9701
B 10箇所 最大長さ約10mm、深さ約5mm
関西電力 美浜 A 13箇所*** 最大長さ約17mm、深さ約13mm PWSCC NUCIA 通番9322
B 指示なし
高浜 A 3箇所 Not detected PWSCC NUCIA 通番9497
B 2箇所 最大長さ約7mm、深さ約6mm
C 4箇所 最大長さ約14mm、深さ約8mm
A 7箇所 最大長さ約28mm、深さ約9mm PWSCC NUCIA 通番9598
B 16 箇所 最大長さ約38mm、深さ約15mm
C 9 箇所 最大長さ約14mm、深さ約9mm
3基 今後 今後 今後 2008.8~ 今後
大飯 4基 (USP 施工済み)
4基 (USP 施工済み)
4基 今後 今後 今後 2008.9~ 今後
四国電力 伊方 3基 今後 今後 今後 2008.9~ 今後
九州電力 玄海 A 3 箇所 検出されず PWSCC NUCIA 通番9553
指示なし
4基 今後 今後 今後 2008.5~ 今後
4基 指示なし (USP 施工済み)
川内 3基 (SGR 実施)
3基 今後 今後 今後 2008.11~ 今後
日本原子力発電 敦賀 1 箇所 検出されず PWSCC NUCIA 通番9400
5 箇所 最大長さ約21mm、深さ約12mm
23 箇所 最大長さ約14mm、深さ約13mm
指示なし

*:平成20年2月5日原子力安全・保安院資料より引用。
**:この欄に記載以外のプラントでは、耐SCC性の優れた690系ニッケル基合金を使用。
***:1箇所はセーフエンド(SUS316)での傷。結晶粒界割れと推定。
****:最大長さはECT、PTの結果を含む。
今後:今後の点検結果を記載
―:対象外
USP施工済み:超音波ショットピニングを実施し、耐SCC性の向上を図っている。
SGR実施:690系ニッケル基合金を使用したSGに次回定期検査で取替え予定。

JANTI-OTO-008-002-2