平成22年11月2日に東京電力福島第一原子力発電所5号機で原子炉が自動停止しました。この事象は、当該プラントにて制御棒パターン調整を行っていたところ、原子炉水位が上昇して発電機・タービンが自動停止し、これに伴い原子炉が自動停止したものです。
この事象において、原子炉は設計に従って安全に停止し、「止める」、「冷やす」及び「閉じ込める」機能は確保され、発電所の安全に影響はありませんでした。
東京電力から発表されたこの事象の推定原因と対策は次のとおりです。
詳細については、東京電力プレスリリース 「福島第一原子力発電所5号機における原子炉自動停止に関する調査結果について」を参照願います。
原子力発電所では通常定格出力を維持して運転していますが、燃料であるウランが燃焼に伴い消耗します。このため、沸騰水型の原子力発電所では一定の出力を維持するために炉内に挿入する制御棒の本数や位置を変更することがあり、この操作を制御棒パターン調整といいます。
原子力発電所は、原子炉の水位が通常の範囲を逸脱すると原子炉が自動停止するように設計されています。
原子炉水位の上昇そのものは原子炉の安全を脅かすものではありません。しかし、原子力発電所は、水位上昇による蒸気中の湿分増加からタービンを保護するため、タービン・発電機を自動停止し、これに伴い原子炉を自動停止するように設計されています。
本事象は、原子炉水位がこの設定点に達して発電機・タービンが自動停止し、これに伴い原子炉が自動停止したものです。
安全審査においては、給水流量制御信号が誤って発して給水流量が急激に上昇した場合など様々な異常状態に対する対策についての解析・評価が行われ、発電所の安全設計の基本方針の妥当性が確認されています。
今回の東京電力福島第一原子力発電所5号機の事象は、これらの対策、解析・評価として想定されている範囲内のものでした。
以 上