平成20年6月17日
改訂0版
日本原子力技術協会
一昨年9月、原子力安全・保安院は、改訂された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(以下、「新指針」という)に照らした耐震安全性評価の実施を各電力会社等に要請し、これを受け、各社は耐震安全性の評価を行ってきた。また、その後、平成19年7月に新潟県中越沖地震が発生したことを踏まえ、経済産業大臣より、本地震から得られる知見を耐震安全性の評価に適切に反映し、早期に完了する旨の指示がなされた。
前回の第15報では、このような経緯を経て電力各社が本年3月末までに実施し保安院に報告(柏崎刈羽原子力発電所を除く)した「基準地震動Ss策定」とこれを踏まえた「耐震安全性評価」の結果(中間報告)について紹介したが、今般、柏崎刈羽原子力発電所においても基準地震動Ssの策定が完了し、保安院に報告がなされたことから、その概要について紹介する。また、併せて、タービンの点検状況についても紹介する。
東京電力は、5月12日に保安院へ報告した柏崎刈羽原子力発電所敷地周辺における地質調査結果の中間報告書の内容と中越沖地震時に取得された地震観測データの分析の結果を踏まえ、同発電所の基準地震動Ssを策定し、5月22日、保安院へ報告書を提出した。概要は以下のとおり。
この報告に対し、保安院は、JNESの分析結果や専門家の意見を聴きながら厳正に評価するとし、併せて、同日開催された原子力安全委員会に本件の報告を行った。
また、保安院からの報告を受け、原子力安全委員会は、同日、今回策定された基準地震動の妥当性について、耐震安全性評価特別委員会において慎重に検証するとともに、その結果を踏まえて耐震安全性の一層の向上に向け取り組んで行くことを決定した。
7号機低圧タービンC第14段(タービン側)の動翼4枚(動翼は4枚が一体で固定されている)を取り外し点検したところ、3月3日、動翼1枚のフォーク部(翼付け根部)が一部折損していることが確認された。また、破面観察の結果、表面に金属疲労を原因とする場合に特徴的に見られるビーチマーク(縞状の模様)が確認された。
同様の構造部に対するその後の点検(外観目視点検及び非破壊検査)結果は以下のとおりである。
6号機についても、低圧タービンB第14段の動翼フォーク部(各152枚、計304枚)について外観目視点検を実施した結果、折損などの異常は確認されなかったが、非破壊検査を実施した結果、発電機側の動翼28枚、タービン側の動翼63枚に指示模様が確認された。
これまでに確認した動翼フォーク部の折損等については、中越沖地震の発生以前から起きていた可能性も考えられるが、東京電力は、引き続き地震との関連も含めて原因の調査を進めるとともに、6号機の低圧タービンA、C第14段動翼フォーク部ならびに低圧タービンB第15段、第16段動翼フォーク部の外観目視点検および非破壊検査、低圧タービン第14段のロータフォーク取付部の非破壊検査を実施することにしている。
以 上