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柏崎刈羽原子力発電所の地震後の状況等について(第5報)

平成19年8月1日
改訂0版
日本原子力技術協会

東京電力では、今回の地震の本震時に取得された地震観測データの分析を進めてきたところではあるが、今般、全ての記録の収集、整備が完了したことから、これまでの調査結果を取りまとめた報告書(第一報)を作成し、7月30日に保安院に提出するとともにその内容を公表した。
本第5報では地震観測データに係るこれまでの動向について整理し紹介する。なお、「本震震源と発電所の位置関係」及び「発電所内における各号機の位置関係」を各々添付1及び添付2に示す。

1. これまでの経緯

(1) 東京電力による発電所における地震観測記録の公表

  1. 地震が発生した7月16日、1、5及び6号機の原子炉建屋最下階(基礎マット上)において観測された最大加速度値(観測値)を速報(暫定値)として、同位置における設計時の最大加速度応答値(設計値)と併せて公表した。
  2. その後、全号機における本震の地震観測記録の収集、整理が終了したことを受け、7月19日、全号機の原子炉建屋最下階(基礎マット上)における観測値と同位置における設計値を以下の通り公表した。

【単位:ガル】

観測点 原子炉建屋最下階における観測値 同位置における設計値
南北方向 東西方向 上下方向 南北方向 東西方向 上下方向
1号機 311 680 408 274 273 (235)
2号機 304 606 282 167 167

(235)

3号機 308 384 311 192 193 (235)
4号機 310 492 337 193 194 (235)
5号機 277 442 205 249 254 (235)
6号機 271 322 488 263 263 (235)
7号機 267 356 355 263 263 (235)

(注1)1、5及び6号機については、7月16日に公表した値に変更なし
(注2)上下方向については、括弧内の値を静的設計で用いている

(2) 保安院からの指示

1、5及び6号機の原子炉建屋最下階における観測値が、基準地震動に基づく設計値を超えたことを踏まえ、7月16日、東京電力に対し以下について報告を指示した。

  1. 今回の地震時に取得された地震観測データの分析
  2. 今回の地震に対する安全上重要な設備の耐震安全性の確認

2. 保安院からの指示を踏まえた東京電力の対応

東京電力では、地震観測データに関する調査を行ってきたが、保安院から7月16日に受領した指示に基づき、今回の地震の本震時に取得された地震観測データの分析について、これまでの調査結果を取りまとめた報告書(第一報)を作成し、7月30日、保安院に提出するとともにその内容を公表した。
東京電力では、今後引き続き、得られている余震データの記録の収集、整理を行うとともに、収集、整理した観測記録を用いて、地震観測データの分析、安全上重要な設備の耐震安全性の確認を実施していくことにしている。報告書の概要は以下の通り。

報告書の概要

(1) 観測記録

  • 1~7号機の原子炉建屋最下階を含む本震時に取得された「加速度時刻歴波形」とこの波形の得られている「観測記録の最大加速度値と設計時の最大加速度応答値」を各々添付3及び下表に示す。地震計配置図は添付4のとおり。
  • 1~7号機の原子炉建屋最下階における「観測記録に基づく床応答スペクトル」と「設計時の地震応答解析モデルに基準地震動を入力して算出した床応答スペクトル」の比較を添付3に示す。
    なお、これらの値等については、今後の分析・検討の進展に伴い変更となる可能性がある。

(2) 地震観測データの分析

(2) 引き続き、余震記録の収集、整理を行い、今回の地震に対する耐震安全性確認に資する地震動の評価および上部地盤の影響を解析的に取り除いた敷地の解放基盤表面における地震動の評価を実施していく。

(3) 地震観測データの分析

今回の地震に対する耐震安全性確認に資する地震動を用いて、安全上重要な設備について地震応答解析および耐震安全性の評価を実施していく。

(4) 地震観測データの分析

海域の活断層調査、地震観測データ分析結果等今回の地震によって得られる知見を踏まえ、今後の耐震安全性評価、耐震対策に反映すべき事項について検討していく。

【単位:ガル】

観 測 点 最大加速度値の観測値と設計値(注1) 備考
南北方向 東西方向 上下方向
1号機 原子炉建屋 2階 1-R1 599(460) 884(463) 394  
地下5階(最下階) 1-R2 311(274) 680(273) 408 注2
タービン建屋 1階(ペデスタル) 1-T2 1862(274) 1459(274) 741 注3
2号機 原子炉建屋 2階 2-R1 517(271) 718(271) 412  
地下5階(最下階) 2-R2 304(167) 606(167) 282 注2
タービン建屋 1階 2-T1 431(295) 764(259) 594  
1階(ペデスタル) 2-T2 642(588) 1159(478) 650  
地下3階(最下階) 2-T3 387(233) 681(232) 470  
3号機 原子炉建屋 2階 3-R1 525(314) 650(309) 518  
地下5階(最下階) 3-R2 308(192) 384(193) 311 注2
タービン建屋 1階(ペデスタル) 3-T1 1350(854) 2058(834) 619  
地下3階(最下階) 3-T2 581(239) 549(243) 513  
4号機 原子炉建屋 2階 4-R1 606(299) 713(293) 548  
地下5階(最下階) 4-R2 310(193) 492(194) 337 注2
タービン建屋 1階 4-T1 411(269) 560(267) 494  
1階(ペデスタル) 4-T2 614(832) 763(838) 526  
地下3階(最下階) 4-T3 763(838) 442(242) 443  
5号機 原子炉建屋 3階 5-R1 472(354) 697(350) 331  
地下4階(最下階) 5-R2 277(249) 442(254) 205 注2
タービン建屋 2階(ペデスタル) 5-T2 1166(995) 1157(754) 533  
6号機 原子炉建屋 3階 6-R1 554(415) 545(411) 578  
地下3階(最下階) 6-R2 271(263) 322(263) 488 注2
7号機 原子炉建屋 3階 7-R1 367(415 435(411) 464  
地下3階(最下階) 7-R2 267(263) 356(263) 355 注2
タービン建屋 2階 7-T1 418(394) 506(418) 342  
2階(ペデスタル) 7-T2 673(1096) 1007(859) 362  
地下2階(最下階) 7-T3 318(299) 322(312) 336  

(注1) 設計値は括弧内に示した値
(注2) 7月19日公表済み
(注3) 本表では基本的に動的解析による設計値のみを記載(上下方向については、静的設計によって評価しているため省略)しているが、1号機タービン建屋1階における設計値(括弧内数字)については、参考として静的設計で用いている値を記載

3. 中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会

経済産業省は、中越沖地震が柏崎刈羽原子力発電所に及ぼした具体的な影響に係る事実関係の調査を行うとともに、当該地震を踏まえた国及び原子力事業者の今後の課題と対応について取りまとめるため、「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」を設置した。
7月31日、本委員会の初回会合が開催され、以下に示す具体的事項について下部WG等にて検討を進め、本委員会として報告を受けつつ審議を行うことが確認された。

  • 地震発生時の事業者による自衛消防体制、情報連絡体制及び地元に対する情報提供の在り方
  • 中越沖地震から得られる知見を踏まえた耐震安全性の評価
  • 中越沖地震発生時における原子炉の運営管理の状況と設備の健全性及び今後の対応

本内容は、東京電力における今後の詳細調査等により更新されるものである。

以 上