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柏崎刈羽原子力発電所の地震後の状況等について (第2報)

平成19年7月20日
日本原子力技術協会

2007年7月16日、午前10時13分頃新潟県中越地方を中心に大きな地震(M6.8)があり、震源から約16km離れた場所に位置する東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所3号機、4号機および7号機の原子炉が自動停止した。また、2号機については起動操作をしていたが、同様に自動停止した。なお、1号機、5号機、6号機については定期点検に伴う停止中であった。東京電力(株)は現在も調査中であるが、環境への影響は出ていない。

この地震により、柏崎刈羽原子力発電所で観測された地震動は、最大で680galであった。同地点における地震動の設計値は273galであった。この地震は想定を超える地震ではあったが、稼働中の原子炉は、安全に停止し冷温停止状態に移行している。地震後、東京電力(株)は、全7基において設備点検を行っている。発電所の安全性は基本的には確保されている。地震観測データの分析を含めた耐震安全性については、今後、詳細な検討が進められる。東京電力(株)によれば、63台の地震計から収集された地震波のデータが消失した。(発電所内には97台の地震計がある。)しかしながら、全号機の本震記録が取得されていることから、今後十分な検討は可能であるとしている。

7月19日には原子力安全委員会が開催されている。委員からは同日午前に実施した現地調査の結果が報告された。原子力安全・保安院はこの地震による発電所への影響を報告した。また、東京電力(株)はこの地震により発生した3号機所内変圧器での火災について報告した。

鈴木委員長は次のとおり述べた。

「原子炉の安全は確保されているが、所内変圧器での火災発生等地震の影響は少なくなかった。情報は今後追加、修正される可能性も考えられ、即断はできないが、発表されている事案内容を見る限り、原子炉の安全に重大な影響を与えるものではない。運転中の原子炉はすべて設計通り自動停止するとともに、原子炉内の高放射能を多重・多層に防護するという、安全上もっとも重要な安全機能は正常に作動している。したがって、結果的に原子炉施設の安全は確保されており、その意味では、審査指針を含む耐震安全の考え方は基本的に有効と考えられる。現時点では、新指針の再改定の要否を論議すべき状況にはないと考える。耐震安全は国民の最も高い関心事であり、できるだけ早期に安全確認をすることが肝要と考える。現実的に可能な範囲で、早期の確認作業を、事業者および規制行政庁に求めたい。」

発生したいくつかのトラブルについて、新しい情報は次のとおりである。

この地震にともない3号機の所内変圧器から発生した火災は、約2時間後の午後0時10分、鎮火した。原子力安全委員会による現地調査結果では、変圧器は防火壁を備えており、延焼の危険性はなかったことが確認されている。

また、6号機の原子炉建屋内にある使用済み燃料プールから溢れた水の一部が、同建屋の3階および中3階の非管理区域内に漏れて、排水経路を通じて海に放出された。放出された水の量は約1.2m3で、放射能の量は約9×104Bqと推定される。当該放射性物質は、法令で定める(周辺監視区域外への)放出濃度限度の数億分の1に希釈されており、環境への影響はなかったと見られる。放出された水は使用済み燃料プールから原子炉建屋の燃料交換フロア(管理区域内)にこぼれ、燃料交換機のケーブルと配電管を伝って非管理区域に放出されたと推定される。放出は7月16日に止まっている。

7号機の主排気筒の週1回の定期測定において、ヨウ素および粒子状放射性物質(クロム51、コバルト60)が検出された。放出された放射性物質の量は、約4×108Bqである。(これは約2×10-7mSvの線量に相当する。)法令に定める一般人の1年間の線量限度は1mSvであり、周辺環境等への影響はなかったと推定される。この原因は、原子炉の自動停止後の操作過程において、タービングランド蒸気排風機の停止操作が遅れたため、復水器内に滞留していたヨウ素および粒子状放射性物質が、タービングランド蒸気排風機により吸引され、排気筒を経て放出に至ったと推定されている。

この他、7月19日時点で約70項目の発電所内設備の被害が確認されており、引き続き詳細な調査が行われている。

本内容は7月19日時点の状況であり、東京電力(株)における今後の詳細調査により更新されるものである。

以 上