平成24年3月2日、青森県上北郡六ヶ所村にある日揮(株)六ヶ所再処理現場事務所において、第128回安全キャラバンを実施しました。
日揮(株)及び日揮グループの青森日揮プランテックの社員他約40名が出席されました。
講演会の冒頭、日揮(株) 六ヶ所再処理現場事務所 所長 園井一朗 様から『JANTI殿には六ケ所まで安全キャラバンにお越しいただき、誠にありがとうございます。本日は、午前は安全講演、午後はRCA研修が予定されています。折りしも、再処理事業所は日本原燃(株)殿を中心に、ヒューマンエラー防止活動を実施中であり、時宜を得た講演テーマ、研修であると思っております。今回の講演、研修から、業務改善に向けたヒントが得られるものと期待しています。RCAについては、我々も使ってきましたが、改めて学び直す機会として皆さんには積極的に参加していただきたい』とのご挨拶を頂きました。 ご挨拶の後、日本原子力技術協会 安全文化推進部 吉村誠一から「他産業事例に学ぶヒューマンエラーの防止策―ヒューマンファクターの視点から―」と題して、講演を行いました。
◆事故やトラブルの再発を防ぐためには、引き金となったヒューマンエラーの背後要因、すなわちヒューマンファクターを解明し、対策を講じることが不可欠である。また、小さな事象を見逃さない「未然防止の視点」を持つことが重要であり、他社・他産業における事例から多くの教訓を学ぶことが求められる。それらの事例は「対岸の火事」ではなく、「他山の石」であることを肝に銘じる必要がある。
◆事故やトラブルの調査では、それら出来事からヒューマンエラーを見つけ出し、「人」と「作業、設備・環境」に関する問題点を作業の「実施段階」と「計画、準備、評価段階」で洗い出していき、最終的には「日常管理」の問題まで掘り下げていく必要がある。判明した要因については、人だけに依存しない対策を講じることが基本であり、設備や手順書なども併せて実施すべきである。また、その対策がきちんと守られているかをチェックすることも欠かせない。対策立案はあくまでもスタートラインに過ぎないことを決して忘れてはならない。
◆ある産業の事例では、計画、準備段階から実施段階までの背後要因として、見間違いや聞き間違いから、あるいは過去の経験から思い込んでしまう、忘れる、他人を頼る(社会的手抜き)、都合の良いように考える(情報の構成的処理)など、幅広い人間の特性の関与が考えられた。例えば手順書の誤りに気づかなかったというヒューマンエラーがあったが、これに対しては、まず、他人を頼らず「自分で気づく」ことが重要であり、更に「他人からの指摘によって気づく」、「他の情報を見て気づく」など個人レベルの気づきを促すことが事故やトラブルを防ぐ防護壁となる。
別の事例では、繰り返し発生した事象に共通する要因として、安全意識の低下、対策の形骸化・マンネリ化などがあげられた。これらに対しては、安全対策の必要性をKnow-why教育で周知することに加え、全員参加による安全対策の策定や見直しにより「やらされ感」の防止を図ることが重要である。また、「安全対策の最後の砦は自分である」という、安全に対するプロ意識を持つことが求められる。
◆他産業の事例では、楽をしようとする人間の特性が背後要因の一つとして挙げられているが、これはルール違反の温床にもなるものであり、注意が必要である。ルール違反に関するあるアンケートによれば、「周囲が守っているから自分も守る」という人が半数以上を占める結果となった。この背景には、社会的同調を求める人間の特性があり、これをうまく活用することで、誰もがルールを守る職場の雰囲気を作り出した事例もある。
◆対策は皆が実行し易く効果の高いものでなければならず、そのためには人間の特性に配慮した作業や環境、対策の設計・運用を考える必要がある。過去の事例からさまざまな教訓を学ぶことができるので、職場で水平展開を図りながら、今後のヒューマンエラー防止活動に役立てて欲しい。
などのお話しをさせていただきました。
などのご意見・ご感想をいただきました。
RCA研修会では、日本原子力技術協会 吉村から「分析手法(HINT/J-HPES)」の紹介後、参加者の方々に手法に従い、事象の把握(分析対象行為の特定)、原因の分析(原因関連図の作成)を行っていただき、最後に代表グループに分析結果を紹介していただき、意見交換を行いました。
などのご意見・ご感想をいただきました。
以 上