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九州電力(株)川内原子力発電所にて第123回安全キャラバンを実施

平成23年2月10日、鹿児島県薩摩川内市にある九州電力(株)川内原子力発電所において、第123回安全キャラバンを実施しました。

九州電力(株)川内原子力発電所の社員72名が出席されました。

ご挨拶

講演会の冒頭、安全品質保証統括室長 長澤 敏樹様から、

「日本原子力技術協会の活動の1つである「安全文化の推進」については、1999年9月に発生したJCOの臨界事故を機に、原子力業界における安全の再認識と共有化を目的としたNSネットが設立されました。現在は日本原子力技術協会が引き継ぎ、活動を続けておられます。
日本原子力技術協会では、「安全文化の推進」に関する活動として、他にもピアレビュー、安全文化の浸透向上活動、情報の発信といったものにも取り組んでおられますが、本日の安全キャラバンでは、安全講演会と情報交換会を行う予定になっています。その目的は、NSネットの設立当初の精神と変わることなく、原子力に携わる皆さん方の安全に対する考え方や取り組みをもう一度呼び起こし、安全の大切さを改めて認識することであり、お互いに協力し合いながら、より信頼される原子力の実現を目指していきたいと思っております。」

とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の様子

安全講演会

ご挨拶の後、慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授 高野研一様から「コミュニケーションと安全文化」と題してご講演いただきました。

講演では

・コミュニケーションは安全文化にとって非常に重要な役割を担う要素であり、過去の事故・不祥事においても重大な要因の1つとなっている。

・現在、企業はさまざまなリスクに取り巻かれているが、それら1つ1つにマニュアルで対応をすることはまず不可能であり、リスクに対応する「人」の中で価値観の共有を図ることが、極めて重要となる。

講演の様子

・価値観の共有を実現するには、経営トップや管理者が一般の従業員と日頃から積極的にコミュニケーションを交わしていることが基本中の基本となる。頻繁に現場を訪れ、現場の人間に対して安全の話をするだけでなく、チャッティング(おしゃべり、雑談)も積極的に行うことで、日頃から分け隔て無く、どんなことでも話せる雰囲気を作り出しておくことが大切なのである。

・より確実なコミュニケーションを実現するには、「ルールを作る」、「情報を形にする」、「相手にわかりやすいように伝える」、「情報交換を頻繁に行う」という4つの要素が欠かせない。これらの点を踏まえたうえで、張りのある大きく低い声で、音程を上げ下げせず、語尾をはっきりとゆっくり話すことが望ましい。常に話を聞く相手の気持ちになって、伝わりやすい確実なコミュニケーションを心掛けてほしい。

・最近では、さまざまな新しいコミュニケーション技術が登場し、注目を集めている。人間の特性に着目した説得(ハーバード流交渉術)、相手の身振り・手振りや会話速度に同調させることで、「自分のことを理解してくれている」と思わせるNLP、自分の主張を相手に上手く伝えるアサーションなどがある。中でもアサーションは、「こうしないといけないんでしょうね?」というように、自分の主張を質問形式で提示することで、より自然な形で自分の主張を通すことができる優れた手法である。日頃からアサーティブな態度を心掛け、相手の意見を傾聴し、それを踏まえたうえで自分の意見を述べることにより、非常に建設的な議論が可能になる。ぜひとも実践してほしい。

・現在、原子力業界はいろいろな問題を抱えているが、人に関するもの、あるいは組織に関するものは、コミュニケーションが解決の鍵を握っている。部門横断型の小集団による活動を続けていくことで、組織が活性し、部門間の壁を超越したコミュニケーションの輪が形成されていくのではないだろうか。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケート

講演会終了後のアンケートでは、

・日常の業務の中でのコミュニケーションの重要性と、その相互理解が良好にない状況での安全に対する影響の大きさを認識することが出来た。今回の講演では日頃のコミュニケーション向上のキーワードやテクニックの紹介があり、得られたものを実践していくことにより、安全文化の醸成にも取り組んでいきたいと考えています。

・普段の生活をしている中で、コミュニケーションについて考える機会がないので、このような講演を聴くことが出来て良かった。人から同じ話を聞く場合でも、頭にすっと入る場合もあれば、あまり記憶に残らない場合もある。その理由が声のトーンやスピード、表情で異なるということは分かり、今後に活かして生きたいと思う。

・コミュニケーションが重要なツールであることは分かっているつもりでいたが、コミュニケーション不足により多数のトラブルが発生していることが分かり、大変驚きました。コミュニケーションはテクニックにより改善出来ることが分かりました。ぜひ実践して、周囲と上手くコミュニケーションが図れるよう努力していきたいと思います。

・人とのコミュニケーションの重要性を改めて感じた。チームで仕事をする以上は、人をとても大切にする気持ちと、相手を理解する気持ちを前に出して、自分自身が部下とのコミュニケーション作りをしていきたいと思いました。大変有意義な講演会でした。

などのご意見・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会では、九州電力(株)川内原子力発電所から、「定検作業時合同訓練の取り組み」についてご紹介がありました。また、日本原子力技術協会からは、その取り組みをさらに向上するための関連事例について紹介するととともに、安全文化の定着に向けた活動例を紹介いたしました。

上記のご紹介の後、上記の取り組みについて意見の交換を行いました。

情報交換会の様子
情報交換会の様子

以 上