1. 事業概況 |
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平成19年度の原子力産業界は、昨年3月の発電設備に関する総点検の結果を受け、トラブル情報等の共有を強化することが求められた。また、保全プログラムを用いた保全活動の充実を前提に、発電所に新たな検査制度の導入が検討された。さらに昨年7月に発生した新潟県中越沖地震により柏崎刈羽原子力発電所が被災した。この地震は、これまでに原子力発電所が経験したことのないものであったことから、産業界が総力を結集し、世界中の知見も活用しながら対処すべき課題であり、また、そのデータが世界で共有されることが期待されている。
このような環境の中で、当協会は、設立後3年が経ち、これまでの情報収集・分析・活用、安全文化の推進、民間規格の整備支援の3つの柱については、その基本的枠組みは整いつつあり、さらに、外部の専門家からの客観的評価を受けるなどの方法等により、より効果的な活動となるよう、更なる改善に努めている。また、上記のような新たな課題に対しても、当協会の有する資源を有効に活用し積極的な対応を図っている。具体的には、トラブル情報については、ニューシアの活用の高度化を進めた。また、保全活動の充実については、電力技術基盤の整備等への準備に着手した。さらに新潟県中越沖地震対応としては、健全性評価委員会を設置し、産業界としての耐震安全性に関する検討を行なっている。
4つ目の柱である原子力技術者の育成・維持に関する業務については、運転責任者判定業務の実施に向けた事業化準備や民間技量認定制度化への支援方法について検討を開始した。
このような課題に対処するため、組織の整備を進めるとともに、組織の専門性、継続性を強化するため、多様な方法により人材確保を積極的に進めている。
また、平成19年度は志賀原子力発電所臨界事故への対応、中越沖地震により被災した発電所の状況に関する国際シンポジウムの共同開催、情報発信などを通じて、第三者性を有する民間団体としての技術情報の発信の意義が社会から認められつつあり、これまでの地道な活動が評価されつつある。
具体的な平成19年度の活動は以下のとおりである。 |
2. 事業の経過及び成果 |
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(1)
情報収集・分析・活用 |
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勧告等文書の発行 |
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国内外の原子力発電所に関する事故・故障情報等を収集し、分析・評価を行うとともに、原子力の安全確保、信頼性に影響を及ぼす類似事象の発生防止に資するため、「勧告」、「注意」、「提言」、「通知」の文書を発行し、その実施状況をフォローしている。
平成19年度は、国内情報698件、海外情報〔INPO(米国原子力発電運転協会)、WANO(世界原子力発電事業者協会)、NRC(米国原子力規制委員会)、IAEA(国際原子力機関)〕3,089件を分析した。(平成18年度は、国内340件、海外3,080件)
その結果、注意文書1件、通知文書3件を電力会員に対して発行した。
@)
注意
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BWRの制御棒駆動系ノンリターン運転状態での制御棒引き抜けの防止(H19.5.15)
A)通知
・
給水加熱器ドレンポンプピットにおける液体放射性物質検出に係る通知(H19.10.23)
・
仮設足場設置時の留意事項について(H20.1.25)
・
ガス消火装置の運用管理の留意事項について(H20.3.25)
これらの発行文書については、文書の概要をホームページに掲載するとともに、半期毎に電力会員の検討・実施状況を調査し、その集約結果も併せてホームページに掲載している。 |
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A |
情報の傾向分析と活用 |
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国内について、運転・保守へのフィードバックを目的に、運転制限(LCO)逸脱事象及び疲労・応力腐食割れ・絶縁劣化の経年的事象の傾向分析を行った。また、最近のトラブルについてNRCの原因分類による傾向分析を行った。これらの分析・評価については、電力会員の個別の特徴も含めて、平成20年3月に報告会を開催し、電力会員へフィードバックした。 |
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B |
電力会員の自主保安体制推進の支援 |
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電力会員の保安検査、定期検査、安全管理審査に係る保安情報を収集・一元管理して情報の共有化を図り、発電所の品質保証体制を充実していくため、保安情報データベースシステムを平成19年7月に構築し、その基盤整備を行った。また、これらの情報を横断的に分析・評価し、電力会員参加の自主保安体制推進会議等でフィードバックした。
また、電力会員の品質保証活動の共通課題について発電所を中心とした訪問調査により抽出した。その対応方策について当該業務担当で構成するWGを設置し、単に「規格への適合」に重点を置くのではなく、「日常業務のパフォーマンスの向上」に向けた本質的な活動を行っていくための検討を行うとともに、良好事例の共有化についても継続して実施していく。
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C |
RCA(根本原因分析)の推進 |
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新検査制度の導入に伴い、平成19年12月から電力事業者に対して安全上重要なトラブルや頻発する軽微なトラブル等にRCAが適用されることになった。このため、電力会員が円滑な導入を図れるようにRCA推進の中核者を対象とした「RCA研修」(RCA手法の講義、事例演習、海外等過去事例の討議等述べ5日間)を立ち上げ、上・下期に各1回実施し、94名養成した。また、電力会員と連携してRCAハンドブックを平成19年8月に作成し、RCAの普及・理解促進に資した。なお、適用後の実態を踏まえて平成20年3月に同ハンドブックを改正した。 |
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D |
(パフォーマンス指標)等の活用の検討 |
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民間PIであるWANO-PIについては、継続的にデータの収集・分析を行い、ピアレビュー前の状況把握等に活用するほか、世界水準からみた日本のプラントの状況把握等に活用した。なお、日本を含む8ヶ国の稼働率と集積集団被曝線量の至近10年間の比較を実施し、日本の原子力発電の現状について分析を行い公表した。(H19.4.19参議院経済産業委員会等で説明) |
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E |
ニューシアの運用 |
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過去に発生したBWRの制御棒引き抜け事象が電力間で適切に共有されていなかったことに鑑み、原子力発電所の事故・故障情報の共有化を一層推進するため、平成19年5月末に、ニューシアに登録する情報の内、共有することが有益な「保全品質情報」の登録基準の見直しを行った。ニューシアに登録された平成19年度に発生したトラブル情報等は489件で、累計は4,145件であった。これらの情報の内、他プラントへの水平展開が必要な情報のスクリーニングを行うとともに、電力各社の登録状況や水平展開の実施状況を定期的に確認し、ホームページに掲載している。ニューシアによる情報共有意識も向上しており、過去の発生したトラブルについての情報提供も進んできている。
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F |
火力トラブルデータの入手及び活用 |
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火力発電所の運転保守データの収集については、他分野の事故・故障経験の活用の観点から、その収集に努め、平成19年度は23件(累計38件)の情報提供を受けた。この内、漏えい、弁動作不良など原子力分野にも活用できる情報15件(累計24件)については、電力会員へ情報提供を行った。今後も、同会員の火力部門に対して定期的に情報提供の要請を行い、情報の蓄積を継続していく。
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G |
その他 |
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INPOとは、駐在エンジニアを通じて情報交換をするとともに、北海道電力泊原子力発電所で技術交換訪問を実施した。(H19.11.13〜15)
WANOには、平成19年度に軽微な情報も含め162件の国内情報を投稿し、国際レベルでの情報共有活動にも積極的に対応している。(平成18年度は46件)
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(2) 安全文化の推進 |
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ピアレビュー活動 |
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平成19年7月に、平成17年度および平成18年度にINPOの協力を得て実施した4原子力発電所(福島第一、高浜、川内、浜岡)に対するピアレビュープロセスについてのセルフアセスメントを行った。セルフアセスメントには、INPOから1名、電力会員から2名のピアを招聘し、要改善事項8件と長所1件を抽出した。抽出された要改善事項に対する是正措置を講じることにより、当協会ピアレビュープロセスの更なる改善を図った。具体的には、平成19年度より改善提言に対する発電所の改善計画を入手するとともに、定期検査時の作業および運転直のシミュレータ訓練の観察等を導入することとした。
平成19年度は、島根および敦賀の両原子力発電所を対象としたピアレビューならびに福島第一原子力発電所のフォローアップレビューを実施した。
ピアレビューの質的向上と体制の強化を図るために、原子力発電所の運営に関する専門的な知識と経験を有する電力会社出身者のシニアエンジニアの助言を得るとともに、レビューワーとしても登用している。
ピアレビューの実効性の向上および効率的な運営を目指して、WANO東京センターとの協力関係を強化した。ピアレビュー実施計画の調整やレビューワーの相互派遣などを行なった。平成19年度は、日本、フランス、インド、台湾、カナダの国内外5原子力発電所で実施されたWANOピアレビューに参加した。さらに国際貢献およびレビュー手法の調査を目的にフランスのシノンで実施されたIAEAのOSARTへもレビューワーを派遣した。
さらに、三菱重工業、原燃輸送、IHI、富士電機システムズ、電源開発を対象としたピアレビューを実施した。これらのピアレビューについては、各会員の事業内容を踏まえたレビュー項目を抽出し、面談や現場観察を多く取り入れる改善を行った。
ピアレビュー結果の公表については、透明性確保の観点から今後も公表することが必要であると考えている。
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A |
安全文化の浸透・向上活動 |
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現場の管理者や実務者を対象としたセミナーを3回実施した。講演だけの従来型セミナーに加え、平成18年度に高い評価を得た体験型セミナーを鉄道業界の研修施設を活用して行った。また、新たな試みとしてテーマを決めてグループ討議を行う演習型セミナーとして、航空業界で実績のあるCRM(Crew Resource Management)訓練を実施し、好評を得た。
安全キャラバンについては、耐震計算の誤入力による会員の要請に基づく追加も含め、10会員を対象として実施した。また、回数が100回を超えたことから、第三者による評価委員会を設置し(主査:北村正晴東北大学名誉教授)、評価を開始した。具体的な提言を受け、平成20年度下期から活動に反映していく。
会員の安全文化診断を実施するための具体的なガイドラインを上期に制定した。それに基づいて下期に2会員に対して現場診断を実施し、外部評価として、客観的な視点で個人の意識や組織の特徴を把握し、明確な改善点を当該会員に対して提供した。この実績を踏まえて、電力会員の強い実施要望にタイムリーに応じられる運用方法の改善等を平成20年度に行う。
また、NSネット事業部会員の職員1万人に対する第2回職場安全風土調査結果を分析・評価し、第1回目からのトレンドなどにより、重点的に取り組むべき領域を絞り込み、改善に向けた提言を行い、安全文化向上活動の支援を行った。併せて、この結果を前述の現場診断の入力データとしても有効活用した。
原子力安全に関する教材として、NSネット事業部会員の職員がいつでも気軽に安全文化を学習できる「e-ラーニング教材」の第2作目、「ヒューマンファクター」を制作した。また平成19年度より運用を開始している第1作目の「安全文化」は1万人を超える利用があった。一方、会員の安全文化教育などのテキストとしての利用を目的とした小冊子「安全文化ってなに?(2)」を発行した。
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B |
情報発信活動 |
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Web サイトを通じて活動結果や安全文化の推進に役立つ各種データベースなどの提供を行うとともに、NSネット事業部会員向けの月1回のNSネットメールマガジンの発行と年4回のNSネットニュースを発行した。
年々蓄積してくる安全文化に関する講演録などのデータベースに関し、NSネット事業部会員が検索しやすいように、検索機能の強化を検討している。
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C |
科学的・合理的な運用ルール適用の規制側への働きかけ |
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発電所現場での保安検査官のエスコートフリーに関し、平成18年度に行った4発電所での試行結果が概ね順調であったことを受けて、その後の進め方を保安院と調整し、平成19年5月に全発電所での運用開始が指示された。 |
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(3) 民間規格の整備促進 |
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@ |
民間規格の整備促進 |
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当協会としては、原子力の課題に基づいて優先的に整備すべき規格分野を体系的に整理し、5ヵ年計画を策定することとしており、平成19年度も5ヵ年計画を最新の知見、情勢を踏まえてローリングし、優先度の高いものから重点的に民間規格制定活動を支援した。
国の技術基準の性能規定化に伴い、民間規格の整備促進が求められている中、さらに、平成20年度より原子力発電所の保全活動に、保全プログラムが、それに対応して新検査制度が導入されることになったことから、保全、リスク関係の規格類の整備を、また、廃棄物分野についても、省令改正が進められるとともに新たな事業に関わる規格類の整備が急がれており、優先的課題として民間規格整備支援を進めた。
この結果、プラント関係の規格38(平成18年度:36)、サイクル・廃棄物関係の規格12(同8)の計50の規格(同44)について、調査、素案作成、学協会審議等の規格整備に係る原子力産業界の専門家支援を行った。このうち、学協会での審議素材として、溶接規格(改定版)、ディジタル制御の指針、リスク情報活用の実施基準、高経年化対策の実施基準、低レベル放射性廃棄物輸送容器の安全設計・検査基準などに対して、30の規格素案を提供した。
(資料1参照)
また、今後、リスク情報を有効に活用していくことから、PSAの保安活動全般への活用等に備え、国内PSA信頼性データベースの充実も継続して進めた。
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A |
電力共通技術基盤の整備 |
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平成20年度からの保全プログラムの導入に際して、保全に係る共通技術基盤情報の収集・管理、産業界専門家による検討組織(エキスパートパネル)の運営を当協会で実施することになったことを受け、保全高度化導入時の共通技術基盤関連の海外調査、概念設計の検討、保守管理規程の改定支援、保全活動管理指標の設定等の諸準備を行い、平成20年度から新たな事業として発足する体制を整えた。
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B |
規格基準部の体制強化 |
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協会内異動、会員会社からの追加派遣、協会内他部門専門家の兼務などにより、取扱う規格に対応できる体制を整備した。また、これに合わせて副担当制を敷き、派遣者の交替期を控えて技術継承が確実に行なえる体制の整備を進めた。
さらに、民間規格制定支援活動において定例的改定の比重が増加すること、規格基準部の体制が整ったことなどを受けて、当協会が主体的、自律的に民間規格の制改定支援を迅速に行なえるように、会費収入に基づく活動の範囲を拡大した。
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C |
学協会技術開発ロードマップ策定作業への参画 |
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学協会で進められつつある原子力分野における技術的課題の研究開発及び規格制定に関するロードマップ策定に参画し、産業界の規格策定ニーズを反映するとともに、産業界の規格制定中期計画への反映を進めた。具体的には以下のような活動を実施した。
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@) |
各種研究結果を踏まえて、具体的な規格基準の作成につなげるために関連研究のロードマップに関して電気事業連合会、電力中央研究所との打合せを行い、今後の連携について協議した。 |
A) |
日本機械学会で取り組みを開始したロードマップ作成のタスクに参加して、ロードマップの策定について支援している。 |
B) |
日本原子力学会における燃料高度化技術戦略マップ、熱水力安全評価技術に係るロードマップ策定に参画し支援している。 |
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D |
構造関係規格業務の継承 |
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火力原子力発電技術協会で行なわれてきた、ASME(米国機械学会)動向調査、非凝縮性ガスガイドライン作成、炉内構造物点検ガイドライン作成などの構造関係規格関連業務を継承した。
ASME動向調査に関しては、定例会議に出席して改定動向を調査するほか、産業界からの出席者による情報交換会を主催し、情報共有を進めた。また、炉内構造物点検ガイドラインに関しては、3件の原技協ガイドラインを制定した。
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E |
中越沖地震後の原子力機器の健全性評価委員会 |
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平成19年7月に発生した中越沖地震に対応して、電力会員等と連携して、「中越沖地震後の原子力機器の健全性評価委員会」を設置して、幅広い学識経験者の協力を得て、原子炉周りを中心とした機器の健全性評価法、点検方法などの検討を進めている。19年度は6回の委員会、17回の分科会を開催し、中間報告書をまとめた。
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(4) 部門横断による取り組み≪タスクチームで総合力を発揮≫ |
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事業を進めていく中で、当協会の有する技術力を活用するため、部門を越えてタスクチームを設置し、以下の課題に対処した。
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@ |
中越沖地震に対する対応 |
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平成19年7月16日に発生した中越沖地震による被害を受けた柏崎刈羽原子力発電所に関する情報を整理して国内外に発信するとともに、米国NEI、IAEAなどの国際機関に対しても訪問し、正確な理解が得られるよう活動を実施した。
また、前述の健全性評価委員会を設置し、耐震安全性に関する検討を実施した。さらに、地震を原因に発生した不適合についても、電力会員の水平展開に資する活動を推進している。
さらに平成20年2月26,27日、柏崎市において、日本原子力産業協会、電力中央研究所と三者で、「原子力発電所の耐震安全性・信頼性に関する国際シンポジウム」を共同開催し、国内外の専門家を含む約550名の参加を得て、国際的知見の共有を図った。
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A |
日本原燃再処理事業所に対する協力会社との連携に関する特定評価の実施 |
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平成19年9月27日、日本原燃は青森県の要請を受け、当協会に対して、協力会社との連携に関する特定評価を依頼した。評価は、@)協力会社へ発注した業務の管理、A)風通しのよい職場風土の醸成の観点から実施し、日本原燃の取組みを確認するとともに、協力企業8社との意見交換などを通じて評価した。12月27日、その結果について日本原燃に報告するとともに、青森県にも報告した。
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(5) 原子力技術者の育成・維持に関する事業化 |
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平成19年4月、業務部内に「技術認証グループ」を設置し、民間規格(JEAC4804)の成案化への協力とともに判定業務に係るマネジメントシステムや試験問題案の整備等を進めた。なお、運転責任者判定制度の実運用は、平成19年11月を目指していたが、その基となる民間規格(JEAC4804)の成案化が平成20年2月となったため、実運用は平成20年度となる見込みである。
民間技量認定制度の整備に関しては、工事会社の保修業務従事者を対象とした全社共通の技量認定制度の準備作業に着手した。
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(6)
原子力安全動向調査の実施 |
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@)
A)
B) |
IAEA安全条約対応については、事業者に代わり経済産業省の委員として国別報告書作成に協力及び同報告書に対する他国からのコメント回答案を作成した。
原子力ルネッサンスに係る欧米の動きを、平成19年4月のIAEA国際会議及び6月のANS(米国原子力学会)年会を通じて調査したところ、欧州はTSO(独立技術支援組織)を通じた国際協力を、米国は教育強化等自国単独の活動強化を模索中であることが分かった。
中越沖地震における対応については、NRC、OECD/NEA、スウェーデン、クロアチアなどの代表者に対し、柏崎刈羽原子力発電所の情報を国に先行(7月21日以降)して発信した。また、8月にはNEIの協力を得て米国で説明会を開催し、IAEA総会においても、展示ブースを設け、柏崎刈羽原子力発電所の被災状況を説明した。さらに、平成20年2月、国内外の関係者を集めて、被災地である柏崎市でシンポジウムを開催した。
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(7)
広報・広聴活動 |
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会員のみならず、一般公衆およびマスメディアに正確な情報を伝えるために、「志賀原子力発電所の臨界事故の解析結果」や「原子炉施設情報公開ライブラリー(ニューシア)の登録基準の見直し」、「中越沖地震対応に関する調査結果」などの情報をホームページにおいて発信した。
また、会員への原技協活動に関する情報提供およびニーズ発掘のために、仙台、福岡で「原技協技術セミナー」を開催し、民間規格制定状況、安全文化醸成活動、中越沖地震対応などについて報告した。その結果、立地地域におけるセミナー開催の要望や、「法規制に関する説明」など技術的テーマを取り上げて欲しいとの声が寄せられるなど、会員との広報・広聴活動が定着しつつある。
さらに、新聞、雑誌等の報道関係者には、当協会の活動および原子力を巡る課題を理解していただく機会として、技術的説明および現場の実情をわかりやすく解説し、報道の参考にしてもらえるよう「記者懇談会」を4回開催した。
的確な技術情報発信やマスコミを含めた対話活動の有効性が理解されつつあることから、その活動を対外的に明確にするため、平成20年度より、「広報」を表記したグループを新設することとした。
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(8)
関係団体との連携 |
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日本原子力産業協会ならびに電力中央研究所とは、双方の経営資源を活用し、国際シンポジウムの共同開催を行なった。
また、電力中央研究所とは、技術協力関係について新たな枠組みを創るべく協定の締結に向け協議を実施した。
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(9)
理事の選任について |
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平成20年3月25日、石川理事長の辞任を受け、臨時社員総会、理事会を開催し、藤江孝夫理事長を新たに選任した。
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(10) 組織の整備 |
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保全プログラムに係る保全技術の整備支援を行なうとともに、運転責任者判定事業や民間技量認定制度等の整備支援を行なう組織として、技術基盤部を平成20年4月1日に設置するための諸準備を行なった。 |
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(11)
人材の確保
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広範な原子力技術に係る専門性を確保し、継続的な組織運営を図るため、職員化を着実に進めると共に、テクニカルアドバイザー制度の活用に加え、平成19年度は新たに期間雇用契約によりレビューワーの確保を図るなど、様々な方法を用いて産業界の技術力の確保を図った。
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3.
法人の概況 |
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(1) 事業内容 |
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原子力に関する下記の事業を行う。
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安全文化の推進
・
情報の収集・分析・活用
・
民間規格の整備促進
・
技術力基盤の整備
・
原子力技術者の育成・維持
・
前各号に掲げる事業に付帯又は関連する事業
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(2)
基金の拠出状況 |
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(3)
役員(理事及び監事) |
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理事 |
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藤江 孝夫 |
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鈴木 康郎 |
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中村 民平 |
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成瀬 喜代士 |
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河島 弘明 |
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百々 隆 |
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佐々木 則夫 |
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東 正武 |
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松下 清彦 |
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監事 |
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頼 敬 |
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西村 章 |
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*なお、理事及び監事の兼務の状況は以下のとおり。 |
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佐々木 則夫
(株式会社東芝 執行役
専務
) |
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東 正武
(財団法人電力中央研究所 常務理事 |
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頼 敬 (日本原子力発電株式会社 常務取締役) |
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西村 章 (株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン 執行役員) |
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(4) 会員 |
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平成19年6月12日、社団法人日本電気協会が、平成19年10月11日、戸田建設株式会社、日立GEニュークリア・エナジー株式会社、株式会社エナジスが、平成20年3月27日、エンジニアリング開発株式会社が入会した。一方、株式会社岡崎製作所が退会したことから、会員数は、118会員となった。
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(5) 会議 |
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@ |
定時社員総会 |
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日時:H19.06.25 第 3回 |
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A |
理事会 |
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日時:H19.05.15 第13回 |
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日時:H19.06.12 第14回 |
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日時:H19.06.25 第15回 |
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日時:H19.10.11 第16回 |
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日時:H20.01.24 第17回 |
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日時:H20.03.04 第18回 |
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日時:H20.03.25 第19回 |
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日時:H20.03.27 第20回 |
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B |
評議員会 |
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日時:H19.05.08 第 5回 |
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|
日時:H19.11.09 第 6回 |
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C |
運営委員会 |
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日時:H19.05.11 第 5回 |
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日時:H19.11.07 第 6回 |
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(6) 職員の状況 |
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職員67名(平成20年3月31日現在)
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以 上
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