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柏崎刈羽原子力発電所の地震後の状況等について(第20報)
−  原技協の健全性評価委員会の活動状況(平成21年度)  −

平成22年6月30日
改訂0 版
日本原子力技術協会

  中越沖地震被災から約3年が経過し、柏崎刈羽原子力発電所6,7号機は健全性評価が終了し、営業運転が再開された。それに続く1号機は定格熱出力一定運転により最終評価中、5号機は設備健全性評価、耐震安全性評価が概ね終了し、試運転による最終的な確認を行う段階にある。
  日本原子力技術協会は、設計基準を超える地震荷重を受けた重要機器の健全性を確認し対策を着実に実施すること、さらに、災害から得られた貴重な教訓を関係者が広く共有していくことを目的に、構造強度・検査・耐震・建築・土木などを専門的分野とする学識経験者と、電力・メーカー等の関係者による「中越沖地震後の原子炉機器の健全性評価委員会」(主査:野本敏治東大名誉教授、平成19年9月設立)による活動を展開している。
 本報では、本年4月に公表された平成21年度中間報告書の活動成果の概要を報告する。なお、詳細については、当協会ホームページ掲載の報告書を参照されたい。

1. 平成21年度の活動状況

  有識者委員総数26名、及び電力・メーカーなど常時参加者約40名による委員会構成メンバーを中心に活動を継続しており、これまでの活動の検討成果である、点検と解析の組合せによる健全性評価の大きな枠組み、疲労破壊モードのデータに基づく評価や塑性ひずみの測定方法、締結部材の検査方法などが、東京電力による健全性評価報告や国の様々な審議プロセスの中で間接的に活用され、当初の目的は着実に達成されつつある。
 平成21年度は計3回の委員会を開催するとともに、6つのワーキンググループ(以下、WG)を計15回開催し、個別技術課題に取り組んだ。特に平成21年度からは再起動WGを設置し、国内外の知見を踏まえて将来の地震遭遇後のプラント再起動に至る点検・評価のプロセスの整理・検討に着手した。(表-1、図-1参照)

 
 
表-1.各WGの主たる検討事項

WG名称

WGの主たる検討事項

評価基準WG

構造健全性の評価手法、基準の検討

検査WG

機器の塑性ひずみ等の検査方法の検討

疲労・材料試験WG

地震荷重を受けた材料の疲労強度評価検討

建屋-機器連成WG

原子炉本体基礎の合理的な評価手法の検討

配管振動評価WG

配管減衰定数等の裕度評価と合理的な配管設計手法の検討

再起動WG

地震前後の点検・評価ガイドラインの検討

2. これまでの成果

  平成21年度は、ABWR(6,7号機)での評価結果をBWR-5型プラント(1〜5号機)へ展開する際の設計上の相違点に起因する課題に取り組んだ。さらに、これまでの個別技術成果の体系化・一般化を図って関係者の利便性に供するため、技術ガイドラインの整備に着手した。これらの技術成果概要を以下に示す。

(1)

検査手法の検討

 

  6,7号機をベースに検討した目視点検・作動試験等の基本点検と、分解点検・非破壊試験等の追加点検などの検査手法を検討し、1,5号機に適用した。その結果、硬さ測定実施箇所に地震に起因する有意な塑性変形が生じていないこと、基礎ボルト等の設備健全性が確保されていることを確認した。また、設備に共通する点検方法・判定基準、点検実施者・評価者に必要な資格・力量等の考え方をまとめた点検ガイドライン素案の検討を行った。(図-2,3参照)


 
(2)

配管系の耐震性に関する評価

 

  地震後の配管系の健全性評価、継続使用の判断のため、余裕の適正化を図った規格類の適用や弾塑性解析評価の知見を調査し、合理的な耐震性評価手法を検討した。(図-4参照)

  また、疲労寿命データについて鋼種・条件ごとのデータの拡充を図るため、平成21年度は3鋼種(SUS316NG、SFVQ1A、STS410)を対象に試験データを採取し、高温(300℃)条件での疲労累積係数による評価の妥当性を確認した。(図-5,6参照)
  その他、耐震グレードの低い屋外配管の損傷事例として、循環水配管下部マイタ管等について健全性評価を行い、継続使用に問題のないことを確認した。(図-7参照)

(3)

BWR-5型プラントの原子炉本体基礎の弾塑性評価による耐震安全性評価

    原子炉建屋−原子炉格納容器−原子炉本体基礎等を連成した地震応答解析に対し、従来は原子炉建屋は弾塑性モデル、原子炉本体基礎は弾性モデルを用いていたが、昨年度に実施したABWRでの成果(図-8,9参照)をもとに、BWR-5型プラントの原子炉本体基礎部の構造様式を考慮した弾塑性モデルを構築し、地震応答解析と強度評価を実施した結果、基準地震動Ssに対する耐震安全性を確認した。
 
(4)

地震後のプラント再起動に関する検討

    国内の地震経験やIAEA,EPRI等の海外動向を踏まえて、地震発生直後から再起動に至るまでの設備の点検・評価の考え方と手順を、地震動の強さを3レベル、設備の損傷状態を4レベルに分類し、これらの組み合わせごとの対応ケースを定めたガイドライン素案を作成した。(図-10,11,12参照)
 
3. 今後の進め方

 当初目標として掲げた柏崎刈羽原子力発電所への技術支援が、各号機の運転再開により達成されつつあるなかで、残された課題について検討を継続するとともに、関係学協会等との連係を深め技術情報の発信に努める。
  さらに、平成22年度をこれまでの成果を集大成する年と位置づけ、技術知見の体系化に注力し、検討途上のガイドライン案について全体整合を図る。

   
  以上
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