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日立造船(株)有明工場にて
第119回安全キャラバンを実施
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 平成22年7月29日、熊本県長洲町にある日立造船(株)有明工場において、第119回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 日立造船(株)有明工場の社員35名が出席されました。

 講演会の冒頭、プロセス・原子力機器統括部長 網干 威様から、


 「本日の日本原子力技術協会の有明工場来所に感謝申し上げる。「安全文化を根付かせ、風化させない」という原技協の日頃の各種支援活動に対して、敬意を表したい。

  私どもの工場では、「有用で安全な原子力機器を製造・納入することで、原子力施設の安全に寄与する」という品質方針に基づき、キャスク、キャニスターを中心とした原子力関連機器を製造している。

 今回は当社にとって4回目の安全キャラバンになる。午前中の講演会と午後の情報交換会を通じて、当工場における安全活動のヒントを見つけ、さらなるレベルアップを図かる絶好の機会ではないかと思っている。今回の講演会と情報交換会では、当工場にとっての重要課題であり、一般産業界においても大きな課題であるヒューマンエラーがメインテーマになっている。ヒューマンエラーは、一歩間違えれば重大災害やトラブルにもつながりかねないものである。吉村様のご講演と午後の安全情報交換会での大西様の良好事例紹介を通して、ヒューマンエラー撲滅に向けた活動のヒントを見つけ、安全活動のさらなる活性化を図っていきたい。」

とのご挨拶を頂きました。

 ご挨拶の後、(財)電力中央研究所 社会経済研究所 ヒューマンファクター研究センター 副センター長 吉村 誠一様から「他産業事例に学ぶヒューマンエラーの防止策 −ヒューマンファクターの視点から−」と題してご講演いただきました。

講演では、

 (財)電力中央研究所 社会経済研究所
 ヒューマンファクター研究センター
 副センター長 吉村 誠一様

◆ 事故やトラブルを未然に防ぐには、引き金となったヒューマンエラーの背後要因、すなわちヒューマンファクターを解明し、対策を講じて再発防止に努めることが不可欠である。また、小さな事象を見逃さない「未然防止の視点」を持つことが重要であり、他社・他産業における事例から多くの教訓を学ぶことが求められる。それらの事例は「対岸の火事」ではなく、「他山の石」であることを肝に銘じることが大切である。

◆事故の調査では、ヒューマンエラーを見つけ出し、「人」と「作業、設備・環境」に関する問題点を「実施段階」と「計画、準備、評価段階」で洗い出していき、最終的には「日常管理」の問題まで掘り下げていく必要がある。判明した要因については、人だけに依存しない対策を講じることが基本であり、設備や手順書の改善なども併せて実施すべきである。また、その対策がきちんと守られているかをチェックすることも欠かせない。対策立案はあくまでも再発防止のスタートラインに過ぎないことを、決して忘れてはならない。

◆ある産業での事例では、計画、準備段階から実施段階までの背後要因として、見間違いや聞き違いで錯覚する、過去の経験から早とちりする、忘れる、他人を頼る(社会的手抜き)、都合の良いように考える(情報の構成的処理)など、幅広い人間の特性の関与が見られた。一方、手順書の誤りにも気付かなかったが、これに対しては、「自分で気付く」、「他人からの指摘によって気付く」、「他の情報を見て気付く」などの個人レベルの防護壁で気付きを促すことが求められる。
別の事例では、繰り返し発生した事象に共通する要因として、安全意識の低下、対策の形骸化・マンネリ化などが挙げられた。これらに対しては、安全対策のKnow-why教育に加え、全員参加による安全対策の策定と見直しで「やらされ感」の防止を図ることが重要である。また、「安全の最後の砦は自分である」という安全に対するプロ意識を個人レベルで持つことが求められる。

◆他の産業における事例では、楽をしようとする人間の特性が背後要因の1つとして挙げられているが、これはルール違反の温床にもなるものである。ルール違反に関するアンケートでは、「周囲が守っているから、自分も守る」という人が半数以上を占める結果となった。この背景には社会的同調を求める人間の特性があり、これを上手く活用することで、誰もがルールを守る職場雰囲気を作り出した事例もある。今後は、人間の特性に配慮した作業や環境、対策の設計・運用を考える必要がある。

◆過去の事例からはさまざまな教訓を学ぶことができる。職場で水平展開を図りながら、今後のヒューマンエラーの防止活動に役立てほしい。

との貴重なお話をいただきました。

 

講演会終了後のアンケートでは、

●本日は、大変貴重な講演ありがとうございました。ヒューマンエラー防止策としてのヒューマンファクター、人間の振る舞いに影響する要因の事象連鎖を防止する活動を弊社の今後の取り組みとして、参考とさせていただきます。又、ルールに対する考え方において周囲が守っているから守る、周囲同調タイプが統計上55%となっている事実を知り、今後の活動の推進方法の参考とさせていただきます。
●具体的な事例を数多く取り入れていただいた講演内容であったので非常に理解しやすかった。その中で未然防止の視点からどうやって気付くか?気付かせるか?の考えが新鮮でした。
●日常では気にも留めないヒューマンエラーについてとても細かい点まで分析され改めてトラブルの原因とは様々な要因があることを思い知らされました。安全意識の低下やマンネリ化に対してどの様に防いでいくのか今後の自分の仕事に対しても、しっかりと意識して防いでいくようにすべきと思う。
●知らない事が多々あり、本日講演会に出席できて大変勉強になりました。講演の中で人間はどうしても楽をしてしまい、その結果ヒューマンエラーを起こしてしまう事があるということなので、十分注意したいと思います。
●“人”はエラーするという前提でのヒューマンエラー分析が特徴的で有った。これを突き詰めれば、“人”の関与を如何にして少なくするかがヒューマンエラー撲滅の鍵となるとも考えられる。反面、それは“マシン”に頼ることになり、信頼性面での課題が残る。従って相互の兼ね合いが重要であると理解した。
●漠然と考えていたヒューマンファクター/人間の行動パターンが整理されており今後の参考になると思いました。ありがとうございました。
●事故やトラブルは人間の意識の問題が主因で起こることが良く理解できた。これらを減らす為には小さなエラーを連鎖させずに気付きの重要性を認識しながら事象の連鎖を防ぐことが重要だと感じた。人間の記憶は必ず縛られるので、マニュアル化の重要性も認識できた。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 安全情報交換会では、日立造船(株)様からご要望のあった「伊方発電所におけるヒューマンエラー防止の取組み」について、四国電力(株)伊方発電所 品質保証グループリーダー補佐 大西 宣幸様においでいただき、詳しく紹介いただきました。

 紹介の後、上記の取り組みについて意見の交換を行いました。

以 上

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