WWW.GENGIKYO.JP 
メールでのご意見・お問い合わせはこちらへどうぞ
当サイトのサイトマップです
English version
有限責任中間法人 日本原子力技術協会  
HOME 協会の御紹介 活動状況 関連情報 問い合わせ先   会員ページ入口
活動状況
(株)神戸製鋼所資源・エンジニアリング事業部門にて
第118回安全キャラバンを実施
全体
情報・分析
安全文化
規格基準
技術基盤
技量育成


 Contents
活動内容紹介
ピア・レビュー
安全
    キャラバン
セミナー
NSネット
      ニュース

 

 平成22年6月25日、兵庫県神戸市にある(株)神戸製鋼所資源・エンジニアリング事業部門において、第118回安全キャラバンを実施しました。

安全講演会

安全講演会の様子

 (株)神戸製鋼所の社員の方、30名が出席されました。

 講演の冒頭、(株)神戸製鋼所資源・エンジニアリング事業部門原子力・CWD本部本部長 山本敬蔵様から、


 本日はNSネットの安全キャラバンを弊社で実施していただくということで、この機会に我々の安全に対する取り組みを再度総点検したいと思います。当社の事業活動におきまして、平素より安全・品質というものが最優先であるということは、我々全員が共有している大前提でございます。ただ、この大前提を、常に組織全体できめ細かく浸透させ、そういう状態を継続するということが我々の課題だと考えております。この課題に対して、我々が取り組んでいるポイントは二つ、「意識」と「知識」と捉えております。まず「意識」については、頭では分かっているが、気持ちが変化したり鈍化したりすることがありますので、この気持ちをいかに刺激するかが重要だと思っております。この、気持ちを刺激する取り組みとして、定例会あるいはトップからのメッセージ等、工夫をこらしているところでございます。それから、もう一つは「知識」でございます。いろいろ問題が起こると「交通事故のようなものだ」ということがありますが、これを分析してみますと、どんな時間に、どんな交差点で事故が起こるかというようなことがはっきりしてくるわけです。具体的な対策を出すために、過去の事象を科学的に分析して、未然防止策を地道に積み上げるということが、知識だと考えております。この「意識」・「知識」の両面で、可能な限りの対応をしていこうと考えております。本日は、関東学院大学の井上先生にご講演をいただくということで、新たな視点で勉強をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

とのご挨拶を頂きました。

 ご挨拶の後、関東学院大学人間環境学部教授 学部長で(財)労働科学研究所理事研究主幹 井上枝一郎様から「ヒューマンエラーをカバーする組織とは」と題して、以下の内容についてご講演を頂きました。

講演では、

 関東学院大学人間環境学部教授 学部長
財団法人労働科学研究所理事 研究主幹 井上枝一郎様

◆ヒューマンファクターズという分野が学問領域として出来上がるきっかけとなったテネリフェ空港の事故事例とは、ジャンボ機同士が滑走路上で激突し、584名の方が亡くなったというものである。この事故は、二つのジャンボ機のコミュニケーション上のヒューマンエラーによって発生したものであった。その背景には、航空法と機長の裁量というダブルスタンダードの存在や、通常と異なる状況下での人間特性ゆえのエラーが発生したことで有ったと指摘されている。この事例のように、ハードが関連しない事故は過去にも数多く発生しており、これらに対する原因追及や対策は技術系の枠組みの中で取り組まれることが多いが、人間行動を研究するヒューマンファクターからの発想を取り入れることが重要である。
◆人間の行動は、「知覚」「認知」「判断」「注意」等の段階に区分けすることができるが、いずれにおいても人間は外部情報をそのまま受け入れるのではなく、生物特性の影響下に機能している。つまり、外界情報を受け入れる際には、物理的情報に対して、人間の方がそれに意味付けした上で情報処理を行い、その結果として、情報は意味を持つものとなっている。したがって、意味付けの過程にヒューマンエラーが生ずる可能性が内在していると考えなければならない。
◆人間の冒すヒューマンエラーには意図しない行為と意図した行為とがあり、いずれに因ったものかをしっかり把握して対策を立てなければ、有効な対策とはならない。ヒューマンエラーは原因ではなく結果であり、ヒューマンエラーが起こるような誘因を取除くことが重要である。そのために組織として何が必要かに関して、チェルノブイリ事故以降、安全文化が叫ばれるようになった。安全文化については、最近浸透してきたが、今後はそれを風化させないことが重要な課題となろう。
◆人間は、仕事をするという場面においては、あくまでも組織の状況に支えられている。そのため、組織要因がタイトに管理されていれば、たとえ人間の側で揺れが起こっても、事象発生の段階まで到達せず、ヒヤリハットの段階でおさまる。これに対して、組織上の管理がルーズだと、時として人間が揺れを起こした場合、たちまちに事象発生レベルを超えてしまう。制御が困難な人間の情報処理過程に焦点を当てるより、制御が容易な部分を管理した方がヒューマンエラー対策には有効ではないか。人間行動の揺れは必然的に起こるという認識を共有して、それを前提にして全員で工夫を凝らそうという、その共通理解のことを安全文化というのではないか。

との貴重なお話をいただきました。

 

講演会終了後のアンケートでは、

●ヒューマンエラー防止の対策検討において、個人に対する教育という選択肢はあらかじめ遠ざけておく方が有効な対策を立案できるとのご意見は参考になりました。
●ヒューマンエラーは結果であり原因ではない、ヒューマンエラーを起す主原因を取除くこと、組織でヒューマンエラーをカバーするよう考えること等々、的を得た視点であり、ある意味新鮮さを感じた。
●「ヒューマンエラー」という言葉を、今までは漠然と認識していたが、ヒューマンエラーを起こす原因を追究し、それを組織的に解決して行くことが重要であることを認識できる講演であった。

などのご意見 ・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

安全情報交換会の様子

 (株)神戸製鋼所資源・エンジニアリング事業部門安全品質環境管理部品質保証室室長 中本 勝也様から、「エンジニアリング事例集と不適合に対する取組み」についてご紹介頂きました。また、日本原子力技術協会 NSネット事業部 浜田から、「安全文化とヒューマンエラー」について紹介を行いました。紹介の後、上記の取り組み等について情報交換や意見交換を行いました。

以 上

[↑]PageTop

HOME協会のご紹介活動状況設備稼働状況関連情報ご意見・ご質問

Copyright © 2005 Japan Nuclear Technology Institute, All Rights Reserved.