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関西電力(株)大飯発電所に対する相互評価(ピアレビュー)報告書について

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2002年2月21日
N S ネ ッ ト

 NSネットでは、2002年1月22日から25日までの4日間、関西電力椛蜚ム発電所に対して相互評価(ピアレビュー)を実施しましたが、2月21日にその結果を取りまとめた報告書を関西電力(株)に提出いたしましたのでお知らせします。 
 この結果については、全文をNSネットのホームページに公表しております。
 その概要は以下のとおりです。


1.対象事業所(所在地)

 関西電力(株)大飯発電所(福井県大飯郡大飯町)

2.事業所の概要

 大飯発電所は、現在わが国における最大級出力の原子炉を持つ発電所で、4機の加圧水型軽水炉(PWR)を有している。1号機は1979年3月、2号機は1979年12月、3号機は1991年12月、4号機は1993年2月に営業運転を開始している。

号機
電気出力
(MW)
炉型式
営業運転
開始年月
運転実績(累計)(2001年3月末現在)
発電電力量(億kWh)
設備利用率(%)
1,175
PWR
1979年 3月
1,394.0
61.5
1,175
PWR
1979年12月
1,530.6
69.7
1,180
PWR
1991年12月
848.3
88.3
1,180
PWR
1993年 2月
700.9
83.1


3.レビューチームの構成およびレビューの方法
 Aグループ
:(財)電力中央研究所、住友原子力工業(株)
(レビュー分野:組織・運営、緊急時対策、教育・訓練)
 Bグループ
 
:東北電力(株)、(株)東芝
(レビュー分野:運転・保守)

 Cグループ

:(株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、NSネット事務局
(レビュー分野:放射線防護、重要課題対応)
 レビュー方法 :上記分野について、現場観察、関係者との面談および書類確認

大飯発電所

現場観察(固体廃棄物処理施設)

4.レビュー結果
(1)主な結論
  • 関西電力(株)大飯発電所に対するレビュー結果を総括すると、原子力安全の面で直ちに改善措置を施さなければ重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。 発電所長をはじめ全所員が協力会社も含め一体となって、原子力安全確保を継続・強化していくため、真剣かつ誠実に取り組んでいる実態が確認された。 本発電所では「Our Own Plant」のスローガンのもと、基本理念として"安全・安定運転による地域から親しまれ安心される発電所づくり"、"信頼に満ちた人間関係の形成と明るく活力ある職場環境づくり"等が打ち出され、さらに「重点行動方針」として"安全・安定運転の継続"、"安全文化の定着"等が定められ、多彩な手段で所員や関係者に浸透が図られるとともに、それらの活動を指標化して結果のフォローが行われるなど安全に関わる諸活動について、方針化、発信、具体的実践、フィードバックと常に活性化した状態を維持すべく努力が払われている。 今後、本発電所は、現状に満足することなく、なお一層の安全文化の向上を目指してさらなる自主保安努力を継続していくことが望まれる。
  • また、今回のレビューで得られた成果が、本発電所より、美浜発電所や高浜発電所、さらには本発電所の協力会社に対しても展開されることが期待される。
(2)良好事例及び改善提案
 今回のレビューにおいて、NSネットの他の会員さらには原子力産業界に広く紹介されるべきいくつかの良好事例を見出した。一方、本発電所の安全文化をさらに向上させるためのいくつかの提案を行った。
 良好事例*1と改善提案*2 の一覧は次のとおり。

 ○「良好事例」

レビュー分野
良好事例の概要
T 組織・運営

・ 「安全行動宣言」の周知及び携帯カードの配布による安全意識の高揚
パフォーマンス指標の効果的な運用による安全文化醸成
・ 多彩な手段による所長及び発電所幹部からのメッセージの発信
・ 「品質管理協議会」による協力会社と一体となった安全文化醸成活動
・協力会社から提案された「原子力発電所に従事する者の心得」の作成
・地域に密着した共生活動
・ケーブルテレビ特別番組によるトラブル情報のタイムリーな提供
・協力会社に対する計画的な品質調査

U 緊急時対策 緊急事態発生時の他発電所との協力体制の充実
V 教育・訓練 ・技能認定制度による工事の品質確保
・自己啓発優良者の表彰制度の導入によるより一層の自己啓発の促進
・NTCファミリー訓練時の原子力部門幹部職員立会いによる講評会の実施
所内データベースの活用による安全に係わるノウハウ等の蓄積
・社員OBを含む、過去トラブルを経験した社員による「事例研修」の実施
W 運転・保守

・系統隔離支援システム(SIS)の活用
・所則改訂グループの設置による確実な運転所則のチェック
・運転に必要な情報の共有化システムの運用
機器操作支援システムの活用
・定検サポートセンターによるきめ細かな工程調整
・直営班の設置とスーパーテクニカル(ST)モーションの活用
・保全高度化への取り組み
・協力会社の安全対策意識の定着化のための数量的な評価

X 放射線防護 ・技術開発成果を取り込んだ「改良型酸化運転」等による有効な被ばく低減化の実現
・協力会社との被ばく低減化に対する自主的な取り組み強化
・インターネットによる積極的公開における解説文添付等の工夫
・雑固体廃棄物減容処理技術の確立と他事業者への技術伝承
Y 重要課題対応

専用のデータベースを用いたトラブル水平展開情報の共有化
・ヒューマンエラー防止のためのユニット識別の徹底
・過去のトラブル事例から得られた教訓を反映した真摯な取り組み
・必要な事項を簡潔に要領よく整理した「新規入構者教育テキスト」の活用

注)太字は代表的な良好事例


 ○「改善提案」

レビュー分野
改善提案の概要
T 緊急時対策 ・緊急時対策所のインフラの充実
W 運転・保守 ・発電室内会議への他発電室当直課長のオブザーバー参加
Y 重要課題対応 ・臨界安全をより身近に理解できる教育資料のさらなる充実

5.相互評価報告書
  相互評価報告書本文及び参考図は、こちらをご覧下さい。
  ●相互評価報告書本文(PDF形式:285KByte)
  ●参考図

以 上


*1良好事例
 当該事業所の安全確保活動のうち、的確かつ効果的で独自性のある手法を取り入れている事例であって、NSネットの会員さらには原子力産業界に広く伝えたい、優れた事例を示したもの。
*2改善提案
 原子力の安全性を最高水準へと目指す視点から、原子力産業界でのベストプラクティスに照らして、当該事業所の安全確保活動をさらに向上・改善させるための提案などを示したもの。そのため、現状の活動が原子力産業界の一般的な水準以上であっても、改善提案の対象として取り上げる場合がある。
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